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園内花アルバム

ハマヒサカキ(APGⅢ:サカキ科,モッコク科/エングラー:ツバキ科)  Eurya emarginata

岡山県レッドデータブック(2009):絶滅危惧Ⅰ類

高さ4mほどになる常緑樹。本来は海岸性の樹木だが、強健なため、生垣や植え込み等としてよく植栽される。 ヒサカキと同属だが、葉の表面には光沢があり、かなり印象が異なる。側枝の葉は平面的に2列に互生する。
▲高さ4mほどになる常緑樹。本来は海岸性の樹木だが、強健なため、生垣や植え込み等としてよく植栽される。 ▲ヒサカキと同属だが、葉の表面には光沢があり、かなり印象が異なる。側枝の葉は平面的に2列に互生する。

 
ハマヒサカキは本州の中南部から四国、九州、沖縄の海岸沿いに生育する高さ4m程度の常緑低木~小高木です。国外では朝鮮半島南部、中国(福建省、浙江省)、台湾にも分布します。葉は枝に互生し、側枝では平面的に2列に並んで着きます。葉の大きさは長さ2~4cm、幅1~2cmほどで先は丸いか、わずかにへこんだ倒卵形で縁には浅い鋸歯がありますが、縁は裏面に反り返るため、あまり鋸歯は目立ちません。質は厚く、表裏無毛で、表面には光沢があり、裏面は淡緑色です。ヒサカキ E.japonicaと同属(ヒサカキ属)の樹木ですが、葉の光沢と葉の丸い形状だけ見ると、かなり異なる印象を受けます。樹皮は淡灰褐色で、若い幹は概ね平滑ですが、太くなると縦じわが多くなり、やがてひび割れたようになります。

葉の表面は光沢があり濃緑色、裏面は淡緑色。浅い鋸歯があるが葉縁が裏側に反り返るため目立たない。 樹皮は淡灰褐色。若い幹は概ね平滑(左の幹)だが、太くなると縦じわが入り、ひび割れる(右の斜めの幹)。
▲葉の表面は光沢があり濃緑色、裏面は淡緑色。浅い鋸歯があるが葉縁が裏側に反り返るため目立たない。 ▲樹皮は淡灰褐色。若い幹は概ね平滑(左の幹)だが、太くなると縦じわが入り、ひび割れる(右の斜めの幹)。

 

本種は同属のヒサカキと同じく、雌雄異株の樹木ですが、花期は3~4月頃に咲くヒサカキとは異なり、11~12月(暖地では10月~)に咲きます。花は雄花・雌花どちらも花弁が5枚ある鐘型の花で、葉の腋に1~4個が束生して下向きに咲きます。雄花は直径2~6mm、花弁は淡黄緑色で10~15本の雄しべがあります。雌花は雄しべは退化していて、1本の雌しべ(花柱)があり、花柱の先端は成熟すると3裂します。時に花柱先端が口紅を塗ったように赤紫色を帯びるものが見られることがあります。なお、花にはまるでガスのような独特の臭気があります。ヒサカキの花にも臭気がありますが、本種の臭いはヒサカキよりも強く、住宅地などに植栽された場合には、ガス漏れか?と騒ぎになることがあるそうです。ただ、順番から言うと、本種が「ガスのような臭い」なのではなく、ガスの方が「ハマヒサカキのような臭い」をつけられている、というべきかもしれません。強い臭いがする理由としては、晩秋~冬に咲くため、広範囲に臭いを広げて、訪花昆虫を引き寄せるためであろうと考えられます。

雄花の花弁は淡黄緑色、10~15本の雄しべがあり、雌しべは退化している。花には強い臭気がある。 雌花は雄花よりやや小さく、雄しべは退化して1本の雌しべ(花柱)がある。花柱の先は成熟すると3裂する。
▲雄花の花弁は淡黄緑色、10~15本の雄しべがあり、雌しべは退化している。花には強い臭気がある。 ▲雌花は雄花よりやや小さく、雄しべは退化して1本の雌しべ(花柱)がある。花柱の先は成熟すると3裂する。

 

果実は直径5mmほどの球形の液果で、黒紫色に熟しますが、果実が熟すには意外なほど長期間かかり、開花からほぼ1年後の11~12月頃に熟します。花期=果期なので、雌花が咲いているときには同時に果実も見ることができ、1回の観察で2回分の観察が可能な、一粒で2度おいしい?樹木です。果実の内部には直径2mmほどの種子が多数(10~20個)入っています。種子は褐色で表面には細かな凹凸があり、不規則に角張った形をしています。

本種は野生では乾燥し、風が強く、潮の影響もあるような海岸沿いに生育する樹木のため、乾燥や刈込み、葉への粉塵付着などの汚れにも強く、人家や公園などの生垣や植え込み、高速道路などの緑地帯にしばしば植栽され、野生の個体よりも植栽されたものを目にする機会の方が多い樹木です。その一方で、自然海岸の開発などによって地域によっては自生地は減少しており、特に岡山県においては、「2003年発行の岡山県版レッドデータブックでは野生絶滅種とされたが、2005年に新たな自生地が1カ所発見された。」(岡山県.2003.岡山県版レッドデータブック2009.岡山県生活環境部自然環境課.p.98)とされているように、危機的な状況にあり、岡山県においては、「絶滅危惧Ⅰ類」とされています。

(2018.12.2)

果実は1年後の11~12月頃に黒紫色に熟す。写真の枝先には、開花を終えたばかりの花が見える。 果実の中には種子が多数入っている。種子は褐色で約2mm、表面には細かい凹凸があり、不規則に角張る。
▲果実は1年後の11~12月頃に黒紫色に熟す。写真の枝先には、開花を終えたばかりの花が見える。 ▲果実の中には種子が多数入っている。種子は褐色で約2mm、表面には細かい凹凸があり、不規則に角張る。

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