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園内花アルバム

クチナシ(アカネ科) Gardenia jasminoides

日照を好む常緑低木。高さ1~2mとされるが、当園の温室エリアに植栽された株は3mほどの“大木”。 花は先が5~7弁に分かれ、平開する。直径4~8cmほどで芳香がある。植栽されるのは八重咲き品が多い。
▲日照を好む常緑低木。高さ1~2mとされるが、当園の温室エリアに植栽された株は3mほどの“大木”。 ▲花は先が5~7弁に分かれ、平開する。直径4~8cmほどで芳香がある。植栽されるのは八重咲き品が多い。

 

クチナシは東アジアに広く分布する高さ1~2mの常緑低木で、国内では静岡県以西の本州、四国、九州、南西諸島などに分布します。岡山県でも県南部ではそれほど珍しい植物ではなく、湧水湿地周辺やアカマツ林のような十分な日照がある場所に生育しています。花は6~7月頃、先が5~7弁に分かれた直径5~8cmほどの白色花を咲かせます。花は開花直後は純白ですが、日にちがたつとだんだんと黄色味を帯びた花色に変化します。また、花は強い芳香があり、学名も“jasminoides”(ジャスミンのような)という名が付けられています。果実は長さ2.5~3cmほどの紡錘形で、先端には長さ0.5~3cmの萼裂片が宿存しています。果実は夏~初秋頃までは緑色、秋には橙黄色となります。後述するように、染色や調理に利用する場合にはまだ果実が硬い、橙黄色の頃に採取して乾燥します。晩秋、気温が低下してくるとだんだんと鮮やかな朱色に熟して柔らかくなり、鳥に食べられることによって種子が散布されます。葉は全縁(縁に鋸歯がない)で、両面無毛、長さ3~17cm、幅2.5~5cmの楕円形(あるいは倒披針形)で対生または枝先に3輪生します。

花が美しく香りも良いので、庭木としてもしばしば植栽され、刈り込みにも強いため生垣に仕立てられることもあります。植栽される場合は、八重咲きの園芸品が植えられることが多く、これは「古く中国からヨーロッパに渡って改良された」(大橋広好・門田裕一ほか編.2017.改訂新版 日本の野生植物4.平凡社.p.277)とされる外来系統のもので、園芸では属名から「ガーデニア」とも呼ばれます。

花冠は開花直後は純白だが、開花から日が経つと、だんだんと黄色味を帯びた花色に変化する。 葉は両面無毛で、対生または枝先に3輪生する。葉の大きさは生育環境によってかなり幅がある。
▲花冠は開花直後は純白だが、開花から日が経つと、だんだんと黄色味を帯びた花色に変化する。 ▲葉は両面無毛で、対生または枝先に3輪生する。葉の大きさは生育環境によってかなり幅がある。

 

本種が属する「アカネ科」の名前ともなっているアカネ Rubia argyiという植物の根は赤色の染色材料として古くから利用され、「茜色」という言葉はアカネに由来します。九州南部や南西諸島など温暖な地方に分布するアカネ科の植物には樹木種が多くありますが、岡山県ではアカネ科の樹木は多くはなく、そのほとんどが草本かツル植物で、岡山県ではクチナシがもっともよく見かけるアカネ科の樹木です。

アカネは「茜色(=赤色)」の染色材料ですが、クチナシも染色材料として古くから利用されて来た植物です。クチナシは「茜色」ではなく、黄色の着色材として利用されます。11~12月頃、紡錘形の果実が橙黄色に色づいたころに採取し、陰干しにして十分に乾燥させたものを利用します。おせち料理などに入れる「きんとん」やサツマイモの煮物、たくあん作りの際などに入れると、美しい黄金色となるほか、草木染めなどにも利用されます。また、乾燥させた果実は「山杷子(さんしし)」という生薬としても利用され、煎じて腰痛に、すりつぶしたものを湿布の材料とするそうです。

果実の先端には萼裂片が宿存する。晩秋、気温が低下してくると橙黄色からだんだんと赤く熟し、柔らかくなる。 果実の断面。果肉は「茜色」だが、黄色の着色材として染色や調理に使われる。
▲果実の先端には萼裂片が宿存する。晩秋、気温が低下してくると橙黄色からだんだんと赤く熟し、柔らかくなる。 ▲果実の断面。果肉は「茜色」だが、黄色の着色材として染色や調理に使われる。

 

ちょっと変わった利用法としては、カレーライスなどに使われるサフランライスのサフランの代わりにクチナシを用いて、「クチナシライス」にすると、ふんわりとした柔らかい風味になり、小さな子供でも食べやすく、おすすめです。作り方はクチナシの煮出した液を使って普通に炊飯器で炊飯するだけですので、手軽に本格的?なカレーライスを楽しむことができます。なお、クチナシの実はスーパーなどのスパイスコーナーでも販売されていますが、市販のものは中国など国外産のものがほとんどで、国産の物はほとんど流通していません。

なお、「クチナシ」という名の由来は、果実の姿が、熟すと乾燥して中から種がこぼれおちるタイプの果実に思えるのに、いつまでも種がこぼれおちるための「口」が開かない=「口無し」という説や、「くちなわ=ヘビ」が食べる果実(ナシ)だから、という説、果実に残るがく片を「くち」と呼び、「くち」のある果実(ナシ)だから、という説などがあります。

当園では、古屋野寛 名誉園長が1979年に倉敷市内で採取した種子からの実生株が高さ3mほどにも成長しており、毎年多くの花と果実をつけて、来園者の目と鼻を楽しませると同時に、12月頃にはしげい病院や重井医学研究所附属病院などの受付で果実を配布し、喜ばれています。

(2019.1.14 改訂)

乾燥させた果実。スーパーなどでも販売されているが、ほとんど国外産で、国産の果実は流通していない。 サフランの代わりにクチナシで着色したカレーライスのご飯。香りが柔らかく、子供も食べやすい。
▲乾燥させた果実。スーパーなどでも販売されているが、ほとんど国外産で、国産の果実は流通していない。 ▲サフランの代わりにクチナシで着色したカレーライスのご飯。香りが柔らかく、子供も食べやすい。

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