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園内花アルバム

フナバラソウ(ガガイモ科)  Vincetoxicum atratum

環境省レッドリスト(2007):絶滅危惧Ⅱ類 / 岡山県レッドデータブック(2009):絶滅危惧Ⅱ類

濃紫色の花を多数咲かせた、花期のフナバラソウ。当園のように群生状態になることは珍しい。 果実は晩秋に熟し、大きく裂けて長毛をもった種子が散布される。この果実の姿を「舟の腹」に例えた。
▲濃紫色の花を多数咲かせた、花期のフナバラソウ。当園のように群生状態になることは珍しい。 ▲果実は晩秋に熟し、大きく裂けて長毛をもった種子が散布される。この果実の姿を「舟の腹」に例えた。

 

 フナバラソウは北海道から九州の日当たりの良い草地や明るい林縁などに生育するガガイモ科の多年草です。生育地・生育個体数ともに少ないようで、出会うことが難しい植物です。茎は分岐せず高さ40~80cmほどになり、葉は対生し裏面と茎の上部にはビロード状の軟毛を密生します。5~6月頃、葉のわきに多数の濃紫色の花を多数咲かせますが、本種は花数が大変多く次々と咲くうえ、一つの花は数日~1週間ほど咲き続けるので、比較的長い間花を楽しむことができる植物です。しかし花数の割に結実に至る割合が低いのがガガイモ科の植物に共通した特徴のようで、本種も咲き終わった花は多くがそのまま落下し、一つの株にまったく実がつかない、ということも珍しくありません。むしろ本種の場合は結実しないのが普通で、結実することの方がが珍しいというほうが適切かもしれません。和名を漢字で書くと「舟腹草」で、図鑑等には「果実の形が舟の腹(胴体部分)に似ているので」と解説してありますが、果実は未熟な段階では紡錘形で、舟というより潜水艦のような形をしており、舟を想像することは難しいように思えます。この果実の内部には白い長毛のついた種子がはいっており、種子が熟すと果実(果皮)は乾燥して縦に割れ、中の種子を風で散布するのですが、この果実の割れ方が他のガガイモ科の植物の果実に比べて大きく口をあける形になり、まさに小舟のような姿になります。

白色の長毛を持つフナバラソウの種子。最初は束状にまとまっているが、徐々に乾燥してくると綿毛状になる。 葉は長さ6~14cm程度の卵形。質は厚く、裏面には軟毛が密生してビロード状。隆起した脈状にも毛が多い。
▲白色の長毛を持つフナバラソウの種子。最初は束状にまとまっているが、徐々に乾燥してくると綿毛状になる。 ▲葉は長さ6~14cm程度の卵形。質は厚く、裏面には軟毛が密生してビロード状。隆起した脈状にも毛が多い。

 

  岡山県では県の西部よりに点々と記録がありますが、群生することはまれで、ほとんどの場合は1~3株程度がぽつんと生育します。しかし岡山県北部の大規模な草地では数十株が群生する場所もあり、大規模な草原が本種の本来の生育地であろうと考えられます。多くの生育地で個体数が少ないのは、採草地などの半自然草地に生育していた集団の名残なのかもしれません。当園では1983年に山野草愛好家の方から頂いたものを植栽していますが、本種には珍しく株分かれを盛んにして群生状態になっており、花はもちろん、毎年ではありませんが、しばしば結実もして「舟腹」を観察することができるようになっています。

フナバラソウの花。花弁は肉厚で、先は5裂する。 未熟なフナバラソウの果実。この時点は舟を連想することは難しい。
▲フナバラソウの花。花弁は肉厚で、先は5裂する。 ▲未熟なフナバラソウの果実。この時点は舟を連想することは難しい。
種子を散布し終わったフナバラソウの果実。大きく裂けた姿は確かに舟のようだ。  
▲種子を散布し終わったフナバラソウの果実。大きく裂けた姿は確かに舟のようだ。  

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