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園内花アルバム

ハンゲショウ(ドクダミ科)  Saururus chinensis

水辺など湿った場所に生育する。花期には茎上部の葉が白変する。 花は花穂の下部から咲き進む。花には花弁も萼(がく)もないが、白変する葉が花弁の役割を果たす。
▲水辺など湿った場所に生育する。花期には茎上部の葉が白変する。 ▲花は花穂の下部から咲き進む。花には花弁も萼(がく)もないが、白変する葉が花弁の役割を果たす。

 

ハンゲショウは本州・四国・九州・沖縄の水辺や湿地に生育する高さ60~100㎝ほどになる多年草です。国外では中国大陸、朝鮮半島、インド、フィリピン、ベトナムと、東~東南アジアに広く分布しています。ドクダミ科の植物は分布域の広さのわりに種数が少なく、世界でも6種ほどしかありません。日本に分布するドクダミ科の植物は、ドクダミ Houttuynia cordata の品種を除けば、ドクダミと本種の2種のみです。

全体にドクダミ様の臭気があり、葉や茎を切ったり、踏みつけるなどして傷つけると強くにおいます。葉は長さ5~15㎝の卵状心形(葉柄のついている部分が凹む)で互生します。茎は緑色をしていて稜があり硬く、地下には太い根茎があり、伸びた先で新しい芽をつけ、群生します。花は6~8月頃、茎の上部の葉腋から長さ10~15㎝の花穂が出て淡黄色の花を多数咲かせます。花穂は最初は垂れ下がっていますが、花穂の下部より花が咲き進むにつれて徐々に立ち上がってきます。花には花弁も萼(がく)もありませんが、花期には茎の上部の葉がまるでおしろいを塗ったように白く変化し、花弁の代わりに訪花昆虫へ対するアピールの役割を果たしていると考えられています。白くなった葉は花期が過ぎると、徐々に緑色に戻っていきますが、白っぽい緑色程度で、ほかの葉と見分けがつかない状態にまでは戻らないことが多いようです。

葉の表面だけが白くなることから、「半化粧」あるいは「片白草」と呼ばれる。 開花前の株。葉はまだ緑。花期に緑の葉が白く変化し、花が終わると徐々にまた緑に戻ってゆく。
▲葉の表面だけが白くなることから、「半化粧」あるいは「片白草」と呼ばれる。 ▲開花前の株。葉はまだ緑。花期に緑の葉が白く変化し、花が終わると徐々にまた緑に戻ってゆく。

 

本種のように、花期に葉が白く変化する植物には、マタタビ(マタタビ科)があります。分類的にまったく異なる植物であるのに、訪花昆虫に対する工夫が同じになるというのは、非常に興味深いことです。なお、本種と同じ科(ただし別属)で、薬草として有名なドクダミは花弁があるように見えますが、花弁のように見える部分は「総苞(そうほう)」で、やはり花には花弁も萼もありません。この点は、ドクダミ科の植物の特徴ともなっています。

地下には太い根茎があり、伸びた先で新しい芽を次々と出し、群生する。 同じ科だが別属のドクダミも花には花弁も萼もないが、花弁状の総苞(そうほう)を持つ。
▲地下には太い根茎があり、伸びた先で新しい芽を次々と出し、群生する。 ▲同じ科だが別属のドクダミも花には花弁も萼もないが、花弁状の総苞(そうほう)を持つ。

 

「ハンゲショウ」を漢字で表記すると、「半夏生」あるいは「半化粧」となります。「半夏生」とは、「半夏」(サトイモ科のカラスビシャクの中国名/生薬名)が生える(花が多く咲く)時期を意味する雑節(節句・節季以外の季節の変わり目)で、夏至から数えて11日目、現在の7月2日頃です。本種はちょうどその頃に花を咲かせて葉が白くなるのでそのまま「半夏生」と呼ばれるようになった…とされます。「半化粧」の名は、その名の通り、一部(茎上部)の葉だけ白粉(おしろい)を塗ったように白くなる、あるいは「片白草(かたしろぐさ)との別名があるように、葉の表のみ白く、裏面は緑なので、「半分だけお化粧をしている」との意味とされます。中国では「三白草」と呼ばれますが、これは上部の葉3枚が白くなる、という意味です。なお、本種は観賞用として植栽されることが多い植物ですが、生薬として、利尿や腫れ物に用いられることもあります。

当園内には、栽培由来品を植栽したものが温室エリアの池のふち、湿地エリアの下池周辺など、園内のあちこちに生育しています。草丈が比較的高く、成長が旺盛で群生するため、他の植物と競合しやすく、管理上は厄介者なのですが、梅雨時の園内を渋く演出する、季節感あふれる植物でもあります。

(2016.6.12 改訂)

花期に本種と同じように葉を白く変化させるマタタビ。分類的にはまったく別の科の植物である。 生薬名で「半夏」というと、カラスビシャク(サトイモ科)のことである。
▲花期に本種と同じように葉を白く変化させるマタタビ。分類的にはまったく別の科の植物である。 ▲生薬名で「半夏」というと、カラスビシャク(サトイモ科)のことである。

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