トップページ


重井薬用植物園の見学は予約制です。

見学をご希望の方 こちらをクリック



お問い合わせ

重井薬用植物園
岡山県倉敷市浅原20
TEL:086-423-2396
FAX:086-697-5865
E-mail:shigeihg@shigei.or.jp

 

園内花アルバム

キビヒトリシズカ(センリョウ科)  Chloranthus fortunei

環境省レッドリスト(2007):絶滅危惧Ⅱ類 / 岡山県レッドデータブック(2009):絶滅危惧Ⅰ類

キビヒトリシズカは群生することが多い。「一人」とは花の穂が1本との意味で、一株だけ生えるという意味ではない。 白いひも状のものは雄しべの軸(花糸)で、花びらはない。植物の分類上は比較的原始的な特徴を残しているとされる仲間。
▲キビヒトリシズカは群生することが多い。「一人」とは花の穂が1本との意味で、一株だけ生えるという意味ではない。 ▲白いひも状のものは雄しべの軸(花糸)で、花びらはない。植物の分類上は比較的原始的な特徴を残しているとされる仲間。

 
 キビヒトリシズカは、中国地方を中心に、近畿地方から九州北部、四国の一部の明るい林のなかや林縁などに生育する高さ30cmほどのセンリョウ科の多年草です。日本国外では、中国と朝鮮半島南部に分布します。
 4~5月頃、2~3対の葉の付いた茎の先端にブラシのような白い「花」を咲かせますが、この「花」は小さな花が穂状に集まったもので、花びらに見える白いひも状のものは実は雄しべです。一つの花は3本の雄しべの根元に隠れるように緑色の雌しべが付いているだけで、花びらはありません。このような花を「裸花」と言い、センリョウ科やドクダミ科など一部の植物の特徴です。近縁のヒトリシズカChloranthus japonicas と姿かたちはよく似ていますが、ヒトリシズカは葉の表面に明らかな光沢があるのに対してキビヒトリシズカの葉には光沢が無いほか、雄しべの長さがキビヒトリシズカは1cm前後と長いのに対し、ヒトリシズカはその半分程度の長さしかありません。花の時期もヒトリシズカよりも少し遅いようです。

 なお、ヒトリシズカとは、「一人静」であり、花の様子を源義経の妻であった静御前の舞姿に例えたものとされます。近縁に花穂が2本出るフタリシズカ(二人静)という花があり、その花に対して、花穂が一本だけなので「一人」とされたようです。日本では総社市の北部で採集された標本をもとにして初めて発表されたので、「吉備」の名を冠している、岡山県に大変ゆかりの深い植物でもあります。キビヒトリシズカはヒトリシズカ、フタリシズカに比べて花が派手なためか、園芸目的で乱獲されることが多く、生育地の森林の植生の変化などとあいまって減少しつつあり、環境省レッドリスト、岡山県レッドデータブック両方で、絶滅危惧種とされています。
当園では、前園長が1980年頃に倉敷市内で採集したものを温室内にて栽培しています。ヒトリシズカの植物体はよい香りがするため、乾燥させてお茶として飲んだり、若葉を山菜として利用したりすることもあるそうですが、キビヒトリシズカはさらに香りが強く、花はレモンの香りがする、という人もいます。実は、もっとも香りが強いのは根の部分で、植え替えの際にはポットから根を取り出したとたんに、香水の原液を直接嗅いだような、むせかえるほどの強い香りがします。ひょっとすると、清楚な姿ながらしっかりとした香りを持つところが、源頼朝の目前で義経を慕う舞を堂々と舞った静御前の姿と重なるところがあり、「静」と呼ばれるようになったのかもしれません。

「吉備」ではないヒトリシズカ。葉に光沢があり、雄しべの長さはキビヒトリシズカに比べて半分ほど。岡山県内では県中~北部に比較的多い。 キビヒトリシズカの葉には光沢がないことも特徴のひとつ。厳密には、雄しべの花粉を出す葯(やく)の着き方が最終的な決め手となる。
▲「吉備」ではないヒトリシズカ。葉に光沢があり、雄しべの長さはキビヒトリシズカに比べて半分ほど。岡山県内では県中~北部に比較的多い。 ▲キビヒトリシズカの葉には光沢がないことも特徴のひとつ。厳密には、雄しべの花粉を出す葯(やく)の着き方が最終的な決め手となる。

▲このページの先頭へ
▲園内花アルバムのトップページへ