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園内花アルバム

マイヅルテンナンショウ(サトイモ科) Arisaema heterophyllum

環境省レッドリスト(2012):絶滅危惧Ⅱ類 / 岡山県レッドデータブック(2009):絶滅危惧Ⅰ類

複葉になった葉の様子をツルの翼に、葉よりも高い位置に咲く花序をツルの頭部として、ツルが求愛の際に舞い踊る姿に見立てた。 花は仏炎苞と呼ばれる部分に覆われており、花が付いている部分の先(付属体)は伸びて仏炎苞の外部に突き出すが、ウラシマソウほど長くは伸びない。
▲複葉になった葉の様子をツルの翼に、葉よりも高い位置に咲く花序をツルの頭部として、ツルが求愛の際に舞い踊る姿に見立てた。
▲花は仏炎苞と呼ばれる部分に覆われており、花が付いている部分の先(付属体)は伸びて仏炎苞の外部に突き出すが、ウラシマソウほど長くは伸びない。

 

 マイヅルテンナンショウは、本州の東北地方から四国、九州まで分布する高さ40~80㎝になる多年草です。国外では朝鮮半島や台湾、中国大陸など東アジアに広く分布している植物です。川の氾濫原などの日当たりの良い草地や、疎林下に生育するとされています。国内では東北から九州までと広く分布しているように思えますが、東北は岩手・秋田・宮城、関東は茨城・栃木・千葉・東京、近畿地方から中国地方は瀬戸内海寄りの地域に限られており、分布は不連続なものです。その上、分布地域においても生育地は局限されており、草地など生育地の開発や園芸目的の採取によって、各地で絶滅が危惧される状況となっています。

 他のテンナンショウ属の植物と同様、本種も地下に球茎があり、養分の蓄積具合によって、無性株→雄性株→雌性株と性転換を行います。また、春に地上に出現するのはタカハシテンナンショウやウラシマソウなどよりも遅い5~6月頃になり、球茎から茎を伸ばして葉を展葉させた後、わずかに遅れて花序が偽茎部(葉柄部分が筒状となって花序の柄を包んでいる部分)の開口部より伸びてきます。開花は当園の場合は5月下旬~6月上旬ごろになります。葉は1個で、鳥足状に17~21枚の小葉を付けます。花序については、花茎は高く伸長して、葉よりも高い位置に花序をつけます。仏炎苞と言う花のついている部分を覆う鳥かヘビの頭のような部分は緑色で、ウラシマソウと同様に内部から花序の付属体が細く長く伸びて外部に突き出しますが、ウラシマソウのようには長くならずにほぼ直立した格好になります。

花序は葉の展葉の後、少し遅れて偽茎の開口部より伸長してくる。 地下には球茎があり、栄養状態によって無性株→雄性株→雌性株と性転換を行う。また、子球を比較的多く作り、栄養繁殖も行う。
▲花序は葉の展葉の後、少し遅れて偽茎の開口部より伸長してくる。
▲地下には球茎があり、栄養状態によって無性株→雄性株→雌性株と性転換を行う。また、子球を比較的多く作り、栄養繁殖も行う。

 

 「マイヅルテンナンショウ」とは「舞鶴天南星」で、開花した草姿の葉の部分をツルの翼、花序の部分をツルの頭に見立てて、「ツルが舞い踊っている姿=舞鶴」を連想させることから名付けられたものです。冬頃にしばしばテレビで放送されるタンチョウの求愛のディスプレイ行動(求愛のダンス)を思い出していただけると納得しやすいかと思います。当園に来園する方の中には、京都府の舞鶴市に由来すると思われている方がしばしばおられますが、開花している姿を見れば、由来は一目瞭然です。なお、「天南星」とはこの仲間の漢名(中国名)であり、根茎を輪切りにして干したものが漢方薬とされ、日本でも同じ名で呼ばれて用いられます。しかし、この仲間はほとんどがサポニンやシュウ酸カルシウムを含む有毒植物ですので、素人用法は禁物です。

 当園では、1991年に岡山県内産の球茎を寄贈して頂いたものを主に温室内で栽培していますが、栽培してみますと球茎には比較的子球ができやすく、盛んに増殖します。増えた球茎は園内に移植しており、ツルの求愛ダンスのように、向かい合って咲いてくれることもあります。ただ、花が比較的長くもつテンナンショウの仲間にしては、花は比較的短く、1週間ほどの期間しかもたず、すぐに傷んでしまいます。時期としてはちょうどトキソウが咲いている頃ですので、そのころに見学に来園されれば、トキだけでなく、ツルの姿も見ることができるかもしれません。

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