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園内花アルバム

ナナミノキ/ナナメノキ(モチノキ科) Ilex chinensis

雌雄異株の常緑高木で果実は秋に赤く熟す。実が美しいので「七実の木」と呼ばれたとの説がある。 葉は革質でモチノキ属の仲間としては質が薄く柔らかい。カシの仲間を思わせるのでカシノハモチの名も。
▲雌雄異株の常緑高木で果実は秋に赤く熟す。実が美しいので「七実の木」と呼ばれたとの説がある。 ▲葉は革質でモチノキ属の仲間としては質が薄く柔らかい。カシの仲間を思わせるのでカシノハモチの名も。

 

ナナミノキ(ナナメノキ)は、静岡県以西の本州、四国、九州の常緑樹林内に生育する常緑高木です。国外では中国にも分布します。高さは10mから大きなものでは15mほどになります。葉は互生(互い違いにつく)で、長さ6~11cmの先のとがった長楕円形、表裏は無毛で、葉の縁には荒い鋸歯(ぎざぎざ)があります。厚くしっかりした葉を持つことが多いこの仲間(モチノキ科モチノキ属)にしては、まるで落葉樹のような薄く柔らかい質感をしています。葉柄は長さ1~1.5cm程度で、通常は緑色をしていますが、生育環境、時期によって紫色を帯びることがあります。花は雌雄異株で、6月頃に咲き、本年枝(その年に伸びた枝)の葉の腋から花序を出し、淡紫色の花を咲かせます。どちらも 花色は似ていますが、雄花の方が花つきがよく、雌花が一つの花序に2~6個着くのに対し、雄花は2~16個の花をつけます。果実は秋に赤く熟し、鳥に食べられなければ春近くになるまで長く枝に残っています。果実の中には種子が入っていますが、これは正確には種子ではなく、「核」と呼ばれるもので、この中に本当の種子が入っています(核果)。核はミカンの袋のような三角状長楕円形で、丸くなった背の部分には縦方向に凹型の筋(稜)が入っています。

種子(核)は一つの果実の中に4~6個がちょうどミカンのような状態で並んでいますが、実際にしっかりとした種子なのは半分から3分の1程度で、ほとんどが未熟な状態の種子です。正常な種子も、果実がみのってすぐは発芽能力が無く、動物に食べられて糞とともに排泄され、土中に埋まった状態(適度な水分と温度が保たれた状態)でゆっくりと成熟し、発芽は果実がみのってから2年目の春となります(後熟種子)。

 

赤く囲まれた木が樹高15mほどのナナミノキ。植物園周辺では、アラカシとともに最も良く見られる常緑樹である。 葉裏の様子。葉のふちには荒い鋸歯があり、無毛。葉柄はふつう緑色とされるが、この写真のように紫色を帯びることも珍しくない。
▲赤く囲まれた木が樹高15mほどのナナミノキ。植物園周辺では、アラカシとともに最も良く見られる常緑樹である。 ▲葉裏の様子。葉のふちには荒い鋸歯があり、無毛。葉柄はふつう緑色とされるが、この写真のように紫色を帯びることも珍しくない。
   
果実はモチノキなどに比べるとやや楕円形であるので「長実の木」との説もあるが…。 樹皮は灰褐色で細かい皮目があるが、一見平滑に見える。本種を漢字で「滑木」と書くことがあるが、樹皮のことを言ったものか。
▲果実はモチノキなどに比べるとやや楕円形であるので「長実の木」との説もあるが…。 ▲樹皮は灰褐色で細かい皮目があるが、一見平滑に見える。本種を漢字で「滑木」と書くことがあるが、樹皮のことを言ったものか。

 

本種は名の由来のはっきりしない樹木で、果実が美しいという意味で「七実の木(ななみのき)」、同じく果実が美しいので「名がある実=名の実の木(なのみのき)」がナナミノキあるいはナナメノキとなったという説もありますし、同じ属のモチノキやクロガネモチなどに比べると、果実がやや楕円形をしているので「長実の木(ながみのき)」と呼ばれたとの説もあります。果実は確かに美しいのですが、モチノキなどに比べてそこまで美しいとは思えず、森林内に生育する手入れされていない野生個体ではそれほど実付きの良くないものがほとんどで、樹高が高いこともあり、果実が目立つ木との印象はあまりない樹木です。「長実の木」説も、確かに果実はモチノキなどに比べればやや長いのですが、わざわざ「長実」というほどの長さではありません。また、漢字では「滑木」と書くことがありますが、これは樹皮が平滑ですべすべしているように見える(実際には細かい皮目がたくさんある)ことか、あるいは材木とした場合の材質を指したものではないかと考えられます。ここから「滑らの木(なめらのき)」が転じてナナミノキ/ナナメノキとなったという説も当然考えられそうなものですが、不思議なことにこの説を唱えている図鑑は見当たりません。他にも、葉の形状がブナ科のカシの仲間に似ているのでカシノハモチなどの別名があります。中国では常緑であることから「冬青」と書きます。これは日本ではモチノキを指します。「冬青」は中国ではモチノキ属の常緑樹の総称であると解説される場合もありますが、単に「冬青」と書いた場合は本種を指すようです。

本種の枝先にはしばしば丸い果実のようなものができることがあります。これはモチノキの仲間に寄生するイヌツゲタマバエという昆虫の幼虫が作った「虫こぶ(虫えい)」で、ナナミノキメタマフシと呼ばれるものです。本種は果実が無ければ特徴に乏しく、初心者のうちは同定に苦労する樹木ですが、昆虫はしっかりと本種がモチノキの仲間であることを見分けているようです。

 

果実の内部には数個の種子(核)が入っている。種子はミカンの袋のような三角状楕円形。 枝にできたナナミノキメタマフシ。イヌツゲタマバエの幼虫の寄生によってできる。
▲果実の内部には数個の種子(核)が入っている。種子はミカンの袋のような三角状楕円形。 ▲枝にできたナナミノキメタマフシ。イヌツゲタマバエの幼虫の寄生によってできる。

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