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園内花アルバム

シラキ(トウダイグサ科) Neoshirakia japonica

花は5~7月、枝先に上向きの穂状の花序に咲く。花は花弁を持たず、あまり目立たない。 上向きの花序の上部は雄花で、花後には落下してしまう。雌花は穂の付け根付近に数個付く。
▲花は5~7月、枝先に上向きの穂状の花序に咲く。花は花弁を持たず、あまり目立たない。 ▲上向きの花序の上部は雄花で、花後には落下してしまう。雌花は穂の付け根付近に数個付く。

シラキは、本州から沖縄にかけての山地に生育する、高さ4~6mほどになる落葉小高木です。国外では朝鮮半島、中国大陸にも分布します。谷川沿いなどでカエデの仲間などに混じって生育しているのをよく見かけますが、どちらかというと、水のある環境を好むというよりは、ある程度、日当たりのよい環境を好むようで、少し乾いた場所にも出現します。

花期は生育環境によって幅があり、植物図鑑を見ると大体5~7月となっていますが、岡山県の場合は、中~南部では5月中旬~6月上旬頃、北部では6月中旬~下旬頃に、枝先に6~8cmほどの細長い穂状の花序を上向きに出して咲きます。花序の上部には多数の雄花が付いており、雄花の部分は花が終わるとやがて落下してしまいます。雌花は雄花よりやや大きく、花序の下部に数個が付きます。果実は秋、10~11月頃に熟し、直径1.5~2cmほどで、3つの団子がくっついたような形をしています。中には最大3個の種子が入っていますが、うまく結実できなかったものも多く、1個あるいは2個の団子がくっついた形の果実もよく見られます。果実は乾燥すると裂開する蒴果で、種子は直径7~8mmほどの球形で、まるでウズラの卵のような黒色の斑紋があります。

果実は秋に実り、直径1.5~2cmほど。先には花柱が宿存しており、中には最大3個の種子が入っている。 果実は乾燥して裂開する蒴果。種子は直径7~8mm程度の球形で、ウズラの卵のような黒の斑紋がある。
▲果実は秋に実り、直径1.5~2cmほど。先には花柱が宿存しており、中には最大3個の種子が入っている。 ▲果実は乾燥して裂開する蒴果。種子は直径7~8mm程度の球形で、ウズラの卵のような黒の斑紋がある。

 

葉は枝に互生し、全縁(葉のふちにギザギザがない)、両面無毛で、先の尖った卵型楕円形をしています。長さは8~18cmと、小さなものから大きなものまで幅があります。葉を裏側からよく観察してみると、葉身の付け根(葉柄がある部分)付近に数個の蜜腺があるのがわかります。本種は、ここから蜜を出すことでアリを誘引し、餌を提供する代わりに、葉を食害する昆虫などを排除してもらうという、一種の共生関係を結んでいる植物です。こういったアリと共生関係を結んでいる植物は、植物の分類に関係なく存在し、総称して「アリ植物」と呼ばれます。

葉は両面無毛で全縁。大きさにはかなりの幅がある。 葉身の付け根付近には数個の蜜腺がある。本種はアリと共生関係を結ぶ、「アリ植物」の一種である。
▲葉は両面無毛でふつう全縁。大きさにはかなりの幅がある。 ▲葉身の付け根付近には数個の蜜腺がある。本種はアリと共生関係を結ぶ、「アリ植物」の一種である。


和名の「シラキ」は「白木」の意味で、製材した際に、材が白っぽいことに由来するとされます。樹皮が灰白色で白っぽいことから、とされることもありますが、他の樹木に比べて特段白く目立つような色合いではなく、由来としては説得力に乏しいようです。また、植物体を傷つけると白い乳液がでることから、「白(汁が出る)木」の意味とも考えられますが、なぜか、この説をとる図鑑はほとんどありません。

本種は古来、有用樹として利用されてきた樹木ですが、用途としては材木としてよりも、種子を絞って得られる油(シラキ油)が主なものだったようです。シラキ油は燈油(燈明の燃料)や整髪用、塗料(オイルワックス)として使用され、江戸時代には時計用の機械油としても使われたといいます(深津正 著.1983.ものと人間の文化史50 燈用植物.法政大学出版局.p.269)。秋には美しく紅葉することから、現在でも、しばしば庭園樹として植栽されることがあります。

なお、本種の属の学名は、以前は Sapiumとされていましたが、近年の分類学的研究の結果、この属は細分化され、本種はNeoshirakia (ネオシラキア)という新しい属名を与えられ、本種1種のみからなる新属として独立して扱われています。

(2016.11.20)
灰白色で白っぽい樹皮の色を名の由来とすることもあるが、木材の色か、白い汁が出ることに由来すると考える方が適当であろう。 古来利用されてきた有用樹だが、秋には美しく紅葉するので、現在でも庭木としてしばしば植栽される。
▲灰白色で白っぽい樹皮の色を名の由来とすることもあるが、木材の色か、白い汁が出ることに由来すると考える方が適当であろう。 ▲古来利用されてきた有用樹だが、秋には美しく紅葉するので、現在でも庭木としてしばしば植栽される。

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