スイランは「水蘭」と書きますが、ランの仲間ではなく、キク科の植物です。中部地方以西の本州・四国・九州の湿地や沼沢地の湿った場所に生育する0.5~1mの多年草で、岡山県でも県南部から北部までの比較的状態の良い湿地に広く分布しています。湿地の泥中を伸びる茎(匍匐枝)から生える根生葉(根元から生える葉)は長さ30cm、幅1~3cmほどの細長い形で裏は粉白色をしています。晩秋、9月下旬頃から11月上旬頃にまばらに分枝した細い茎の先に3~3.5cmほどの大型のジシバリのような黄色の頭花を次々と咲かせます。この時期の茎葉(茎に付いている葉)は根生葉よりもさらに細く1cmにも満たないほどで、キク科の植物の葉とは到底思えません。「スイラン(水蘭)」とは、根生葉を含めた細長い葉の様子が、シュンランなどのランの葉に似ていることから付けられたと言われます。
キク科の植物ですので、花の終わった後はタンポポなどと同じように冠毛(綿毛)の付いた種子ができますが、冠毛に対して果実の割合が大きく、毛の色も淡褐色のため、タンポポやオキナグサなどほど、美しい綿毛とはなりません。
植物園では、9月下旬から10月頃にかけて、本種の花が園内の湿地をサワヒヨドリやサワギキョウなどとともに湿原一面を彩るように咲き、秋の野の風情を演出してくれます。サワヒヨドリの白~紅色、サワギキョウの紫、本種の黄色が入り乱れるように咲く光景はなかなか見事ですので、ぜひ一度、晩秋の植物園にもおいで頂ければと思います。
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| ▲スイランの花。ジシバリに似ているが、ジシバリより背が高く、花も大きい。 | ▲植物園の湿地を彩るスイランの花。湿地の一年を締めくくる風景である。 |
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| ▲スイランの茎葉。葉がランの葉のように細いことから「水蘭」と名がついた。 | ▲花後は綿毛となり、種子が散布されるが、オキナグサのように美しい綿毛とはならない。 |