トップページ


重井薬用植物園の見学は予約制です。

見学をご希望の方 こちらをクリック



お問い合わせ

重井薬用植物園
岡山県倉敷市浅原20
TEL:086-423-2396
FAX:086-697-5865
E-mail:shigeihg@shigei.or.jp

 

園内花アルバム

ショウブ(ショウブ科) Acorus calamus

 ショウブは池や沼などの水辺に生育する多年草です。泥中に根茎を伸ばして広がり、群生しますが、最近では池の改修などの際に岸辺がコンクリート張りになるなどして、本種の群生するため池も少なくなっているようです。5~6月頃、小さな花が集まった棍棒状の花穂を付けますが、比較的低い位置に付き、花びらもない地味な花のため、良く見ないと花があることに気付きません。
 本種は多くの植物図鑑では「サトイモ科」とされていますが、近年のDNAを用いた研究の結果、サトイモ科の他の植物とはかなり異なることが分かり、「ショウブ科」として独立させるようになりつつあります。確かに、形態的にもサトイモ科の植物の多くは小さな花の集まった花序を包む「仏炎苞(ぶつえんほう)」を持ちますが、ショウブの仲間には仏炎苞が無い(より原始的な構造の苞を持つ)などの違いが見られます。
 本種は芳香のある精油成分を含み、葉などをもむと大変良い香りがします。5月5日の端午の節句にはお風呂に入れて「しょうぶ湯」を楽しむ風習があります。現在では多くの場合、葉のみを束ねて風呂に浮かべますが、冬に採集した根茎部分を乾燥させたもの(菖蒲根)を砕いて、布の袋に入れたものを少し煮てから風呂に入れ、薬湯とするのが本来の「菖蒲湯」です。5月5日ごろになるとスーパーなどでは多くの場合、根は付けずに葉だけが売られています。本種が身近な植物ではなくなりつつあるため、本来の「しょうぶ湯」がどのようなものか、忘れ去られつつあるのかも知れません。あるいは現在の「しょうぶ湯」は薬とするよりも、さわやかな芳香と葉のみずみずしい緑を楽しむことが目的のため、根は必要なくなったのかも知れません。

当園湿地エリアのショウブ池。泥中に長い根茎を伸ばして群生する。 写真中央の棍棒状のものが花穂。やや低い位置に着くため、良く観察しないと花穂があることに気づかない。
▲当園湿地エリアのショウブ池。泥中に長い根茎を伸ばして群生する。 ▲写真中央の棍棒状のものが花穂。やや低い位置に着くため、良く観察しないと花穂があることに気づかない。


なお、「ショウブ」とは、漢字では「菖蒲」と書きますが、これは「あやめ」とも読みます。大変ややこしい話なのですが、実は本来「あやめ」と呼ばれていたのは本種の方で、アヤメやカキツバタ、ハナショウブ類などアヤメ科アヤメ属の植物を「あやめ」と呼ぶようになったのは、18世紀以降だそうです。過渡期にはショウブ類と区別するため、現在のアヤメ属の植物は「はなあやめ」と呼ばれていたようですが、いつの間にか「あやめ」と言えば花の美しい方ということになり、本種の方は混同を避けるためか、漢字の音読みである「ショウブ」と呼ばれるようになったようです。その後、アヤメ属の植物の中でハナショウブ類をアヤメそのものやカキツバタと区別するため、「はなしょうぶ」と呼ぶようになったため、さらにややこしいことになっています。
当園では、湿地エリアの湿地の奥にある小さな池に本種が植栽されており、端午の節句前後には見学に来られた方に差し上げて喜ばれています。

ショウブの花穂。小さな花が集まっており、下の方から咲いていく。 「菖蒲」と書いて、「あやめ」と読む、アヤメ科のアヤメ。ショウブから「あやめ」の名を奪い取った?植物である。
▲ショウブの花穂。小さな花が集まっており、下の方から咲いていく。 ▲「菖蒲」と書いて、「あやめ」と読む、アヤメ科のアヤメ。ショウブから「あやめ」の名を奪い取った?植物である。

▲このページの先頭へ
▲園内花アルバムのトップページへ