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園内花アルバム

タカハシテンナンショウ(サトイモ科) Arisaema nambae

環境省レッドリスト(2012):絶滅危惧ⅠB類 / 岡山県レッドデータブック(2009):準絶滅危惧

紫色の仏炎苞のタカハシテンナンショウ。仏炎苞の先の折れ曲がった部分(舷部)は短い。 小葉は多くの場合5枚。小葉のふちは鋸歯がないことが多いが、写真のように鋸歯を持つこともある。
▲紫色の仏炎苞のタカハシテンナンショウ。仏炎苞の先の折れ曲がった部分(舷部)は短い。
▲小葉は多くの場合5枚。小葉のふちは鋸歯がないことが多いが、写真のように鋸歯を持つこともある。

 

 タカハシテンナンショウ(高梁天南星)は、1952年(昭和27年)に岡山県高梁市の臥牛山で発見されたサトイモ科の植物で、1966年(昭和41年)に新種として発表されました。その後、分類研究の過程で、ナガバマムシグサの亜種とされたこともありますが、現在では新種として発表された当時の学名に戻り、独立した種として扱われています。学名の nambae とは、発見者である岡山県の植物研究家、難波早苗氏の名から取られたものです。日本固有種であり、国内でも分布は現在のところ、岡山県と広島県東部のみに限られています。分布が限られていることから、環境省の第4次レッドリスト(2012)では絶滅危惧ⅠB類、岡山県レッドデータブック(2009)でも準絶滅危惧とされています。岡山県内では吉備高原地域を中心に分布しますが、県北部、また南部でもわずかながら分布しています。花は春のお彼岸の頃に咲き、葉に先駆けて花序(仏像の背後にある炎のような飾りに似ているので仏炎苞という)が伸び、開花します。その後、開花している間に徐々に葉が展葉します。葉は1枚の葉が小さな葉に分かれた複葉(鳥の足のような形なので鳥足状複葉という)で、たいていの場合は2枚あり、小葉の数は5~7枚となります。他のマムシグサ類は小葉が10枚を超えることも珍しくないため、小葉の数は他の種との良い区別点となります。

 本種は、現行の植物図鑑ではたいていの場合、花色(仏炎苞の色)は、紫~緑紫色とされますが、当園では、2007年頃から、淡緑色の仏炎苞を持つタイプを入手して栽培していました。当園では分類学的な研究は行っていませんので、長らく淡緑色のタイプが、本種の一形態なのか別種なのか分からず、扱いに困っていましたが、2012年に淡緑色のタイプが新品種として、モエギタカハシテンナンショウ Arisaema nambae f. viride の名で発表されました。偶然、2010年に通常の紫色のタカハシテンナンショウとモエギタカハシテンナンショウが混生している自生地の所有者の方から、それぞれのタイプの種子を頂いて実生を育てています。はたして、何色の花が咲くでしょうか。

淡緑色の仏炎苞を持つ品種、モエギタカハシテンナンショウの開花初期。葉に先駆けて仏炎苞が伸長して開花する。 場所によっては紫色の仏炎苞を持つタカハシテンナンショウそのものと、モエギタカハシテンナンショウが混生することもある。
▲淡緑色の仏炎苞を持つ品種、モエギタカハシテンナンショウの開花初期。葉に先駆けて仏炎苞が伸長して開花する。
▲場所によっては紫色の仏炎苞を持つタカハシテンナンショウそのものと、モエギタカハシテンナンショウが混生することもある。

 

 栽培してみるとわかるのですが、テンナンショウの仲間には地下にある球茎が盛んに分球しするものとしないものがあり、分球する種類は個体数を増やすのは簡単なのですが、種類によってはほとんど分球しないものがあり、そういった種類は結実させて種子を得なければ増殖できません。本種は分球することはごくごく稀であり、さらにはテンナンショウの仲間は、雌雄異株であり、球茎が十分成長していない間は雄花をつけますが、球茎が大きく成長して十分な栄養を蓄えると、それまでの雄花から性転換をして雌花をつけます。したがって、種子を得るには何年も栽培することが必要なうえ、最低雌雄2株が必要になります。分布が限られている理由の一つにはそういった性質もあると考えられます。株を掘り取って帰っても、球茎の寿命が来れば、いずれ枯らしてしまう運命にあります。岡山県レッドデータブックでは存続を脅かす要因として、「業者・マニア採取」が挙げられていますが、本種の生態的な特徴を理解せず、株ごと掘り取っていく人が後を絶たないことは残念なことです。

タカハシテンナンショウ タカハシテンナンショウ 開花直後
  ▲開花直後
タカハシテンナンショウ 開花1週間後 タカハシテンナンショウ 開花2週間後
▲開花1週間後 ▲開花2週間後
タカハシテンナンショウ 仏炎苞が緑色の品種 タカハシテンナンショウ 仏炎苞が緑色の品種
▲仏炎苞が緑色の品種(モエギタカハシテンナンショウ) ▲仏炎苞が緑色の品種(モエギタカハシテンナンショウ)

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