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園内花アルバム

トキソウ(ラン科)  Pogonia japonica

環境省レッドリスト(2007):準絶滅危惧 / 岡山県レッドデータブック(2009):絶滅危惧Ⅱ類

湿地に咲くトキソウ。淡いピンクの花色を鳥のトキ(朱鷺)の羽の色に例えた。 外側の3枚の花びらはがく片が変化したもの。真ん中の筒状に見える部分は3枚の花びらが合わさっており毛状突起が密生する。
▲湿地に咲くトキソウ。淡いピンクの花色を鳥のトキ(朱鷺)の羽の色に例えた。 ▲外側の3枚の花びらはがく片が変化したもの。真ん中の筒状に見える部分は3枚の花びらが合わさっており毛状突起が密生する。

 

 トキソウは、日本全国の日当たりのよい湿地に生育するラン科の多年草です。純白の花を咲かせるサギソウと並び、比較的知名度の高い湿生のランですが、サギソウが盛夏、お盆の頃に開花するのに対して、本種は春の大型連休が終わってしばらくした5月中旬~6月上旬頃、草が伸び始めた湿地の中によく目立つ淡いピンク色の花を咲かせます。花期以外の点でもサギソウとはやや性質が異なり、トキソウは土砂の流入がやや多いなど、攪乱された、植生遷移の初期の段階で比較的多く生育しますが、湿原の植生が安定し、ミズゴケ類が発達するような状態になるとサギソウが増加し、トキソウはゆっくりと数を減らしていきます。では、植生が安定した湿地ではやがてトキソウは消えてしまうのか、というとそうでもなく、部分的に土砂の流入があるような湿原ではトキソウもサギソウも共存する場合が多くあります。同じ湿原で年間を通じて観察をすると、トキソウの集団とサギソウの集団は同じ湿原でも少し違う場所に生育していることがわかります。

植物園の湿地エリアに咲くトキソウの集団。現在は鳥のトキの群れ飛ぶ光景は見られないが、トキソウは各地で湿地の保全活動が行われた結果、やや絶滅の危険性が軽減した。

▲植物園の湿地エリアに咲くトキソウの集団。現在は鳥のトキの群れ飛ぶ光景は見られないが、トキソウは各地で湿地の保全活動が行われた結果、やや絶滅の危険性が軽減した。

トキソウの名は、「朱鷺草」で、花の色が特別天然記念物の鳥のトキ(朱鷺)の翼の下の色、いわゆる「とき色」をしていることに由来します。トキと本種は、色が似通っているばかりか、鳥は日本在来の系統は絶滅してしまいましたが、植物も環境省のレッドリストでは準絶滅危惧とされ、絶滅が危惧されている点まで似通っています。そのほかにも似ている点があり、トキの学名はNipponia nippon(ニッポニア・ニッポン)ですが、本種の学名もPogonia japonica(ポゴニア・ジャポニカ)と、「日本」を表す種小名(後半部分)が付けられています。日本を意味する学名が与えられていると言っても、日本の固有種と言うわけではなく、どちらも中国大陸など国外にも分布する点も同じです。なお、本種の属名Pogoniaは「ひげのある」という意味で、花の唇弁に毛状突起が目立つことに由来します。なお、本種は、サギソウとともに自然保護のシンボル的植物とされることも多く、2000年に発行された国のレッドデータブックでは絶滅危惧Ⅱ類とされていましたが、各地で本種や生育地である湿地の保護・保全活動が盛んとなった結果、絶滅の危険性がやや軽減されたとして、2007年に発表されたレッドリストでは、サギソウと同様に準絶滅危惧にランクが1つ下げられています。

当園内の湿地には高速道路やゴルフ場の開発により消滅してしまった倉敷市内の湿原のものを移植しています。一時は1万本近い花が見られたようですが、湿地の植生が安定したこともあり、現在ではかなり数は減ってはいるものの、それでも毎年1千本を超える花を見ることができます。

 

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