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園内花アルバム

トウネズミモチ(モクセイ科) Ligustrum lucidum

果実は小さな球形で、12月頃、重さで枝がしなるほど多数がまとまって稔る。 葉は対生し、表面はモチノキの仲間のように光沢がある。
▲果実は小さな球形で、12月頃、重さで枝がしなるほど多数がまとまって稔る。 ▲葉は対生し、表面はモチノキの仲間のように光沢がある。

 

 トウネズミモチはネズミモチ Ligustrum japonicum と同属(イボタノキ属)の常緑樹ですが、関東以西の暖地に生育する在来種であるネズミモチに対し、本種は中国原産で、日本には本来自生せず明治初期に園芸樹として持ち込まれた外来種です。中国からきたネズミモチなので、「唐」の字をあてて、「唐鼠黐(黐=鳥モチ)」と名付けられたわけです。ちなみに「鼠黐」とは、黒くて楕円形をした在来のネズミモチの果実がネズミの糞に似ているということと、葉がモチノキ科の樹木の葉に似ていることが名前の由来とされますが、本種の果実は直径6~8mmの球形に近い形をしており、黒色の果実の色以外はネズミの糞には似ていません。また、本種の葉は光に透かしてみると葉脈(側脈)がはっきりと透けて見えるのに対し、在来のネズミモチの葉は主脈は見えますが、側脈は透けて見えないので、簡単に区別できます。さらに、本種は葉の表にもはっきりと側脈が見えますので、少し慣れてくれば光に透かさなくても在来種と見分けることができるようになると思います。花期は6~7月ごろで枝先に房状の花序をつけ、多数の白色の花を咲かせます。派手な花ではないのですが、大量に咲くため、花期には多くの放花昆虫が訪れます。果実が熟すにはかなり時間がかかり、初冬に入った12月ごろになります。果実はヒヨドリなどの野鳥が大変好み、12月ごろに枝が折れるほどたわわに実っていた果実は、春を迎えるころには、いつのまにか無くなっています。

トウネズミモチの葉。光にすかして見ると、側脈がはっきりと透けて見える。 在来のネズミモチの葉。光にすかしても側脈ははっきりと見えない。
▲トウネズミモチの葉。光にすかして見ると、側脈がはっきりと透けて見える。 ▲在来のネズミモチの葉。光にすかしても側脈ははっきりと見えない。

 

 中国では本種のことを「女貞」と呼び、熟した果実を採集して干したものを「女貞子」といい、煎じたり、あるいは焼酎などに付け込んで薬用酒として、病後の体力回復や虚弱体質の改善などの滋養薬とします。薬草図鑑によっては、在来のネズミモチのことを「女貞」と呼ぶと記載されているものがありますが、前述したように、「女貞」とは本種のことを指しますので、在来のネズミモチは「和女貞」とするのが正しいようです。薬効についてはどちらも変わらないようです。在来のネズミモチは本種と比べて果実はやや大きいのですが、まばらにしか実がつかず、集めるのはかなり労力が必要です。また、時折、本種をはじめとするイボタノキ属の樹木の果実が非常に粘つく糸でつづられているのに出会うことがありますが、これはマエジロマダラメイガというガの幼虫が作った巣で、粘りつく糸で固められた果実は野鳥も嫌なようで、その果実だけは食べられずに春まで残っています。

初夏に枝先に円錐状の花序をつけて白色の花を多数咲かせる。一つ一つの花は地味だが、花序の数が多く、訪れる昆虫も多い。 マエジロマダラメイガの幼虫が作った巣。糸は大変粘ついており、さすがのヒヨドリもこうなった実は食べることはない。
▲初夏に枝先に円錐状の花序をつけて白色の花を多数咲かせる。一つ一つの花は地味だが、花序の数が多く、訪れる昆虫も多い。 ▲マエジロマダラメイガの幼虫が作った巣。糸は大変粘ついており、さすがのヒヨドリもこうなった実は食べることはない。

 

 植物図鑑ではネズミモチは大抵「常緑低木」として記載されていますが、本種は樹勢が強く、大きくなるため「常緑亜高木」として扱われています。また、本種は大変生育の旺盛な樹木で、乾燥や刈り込みなどにも強いので都市の公園などの緑化木として、また大気汚染などにもよく耐えるので、交通量の多い道路の街路樹として良く植栽されてきました。しかし、大量に果実が実り、それを野鳥が食べて、糞と一緒に種子を散布することで、あちこちで実生が発生します。森林にも侵入し、在来のネズミモチと交雑・競合したり、他の樹木を被陰したりすることで、在来の生態系に悪影響を与える可能性があるため、外来生物法で「要注意外来生物」とされています。

 当園では、温室エリアの周囲にぐるっと100本余りが植栽されており、毎年冬に果実が熟すと、ヒヨドリやツグミ、ムクドリなどが盛んに食べているようですが、やはりその糞から芽生えたらしい実生が園内のあちこちに芽生えています。草取りなどの際に、できるだけ引き抜くようにしていますが、少し大きくなると引き抜くこともできず、困りものになっています。植栽された時期ははっきりしませんが、年輪を見てみると、2012年現在で少なくとも20年以上がたっているようで、樹高も大きくなり、他の植物を被陰するなど悪影響を及ぼしているので、段階的に伐採して、他の樹種に置き換える計画を立てています。

 

トウネズミモチ トウネズミモチ
トウネズミモチ トウネズミモチ

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