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園内花アルバム

ツルマメ(マメ科) Glycine max subsp. soja

秋、枝豆を小型にしたような果実をつける。野生のマメ類の中では栽培されるダイズに極めて近縁。 8~9月頃、葉の腋に小さな花を咲かせる。大きさを別にすれば、ダイズの花に花色などは良く似ている。
▲秋、枝豆を小型にしたような果実をつける。野生のマメ類の中では栽培されるダイズに極めて近縁。 ▲8~9月頃、葉の腋に小さな花を咲かせる。大きさを別にすれば、ダイズの花に花色などは良く似ている。

 

ツルマメは日本全国の日当たりの良い野原や路傍、林縁などに生育する1年生のつる性草本植物です。茎には粗い毛が下向きに生え、葉はダイズなどマメ科の植物ではよく見られる3出複葉(3つの小葉からなる)で、小葉はダイズなどのように幅広くはなく、狭卵形から披針形(披針=両刃のメス)をしており、葉の両面には伏した毛があります。花期は8~9月頃、葉の腋に長さ5~8㎜程度の小さな淡紫色の花が数個ずつつきます。花後9月頃には淡褐色の粗い毛におおわれた長さ2~3㎝の豆果(いわゆる豆のさや)ができ、中には普通2~3個の長さ5~7㎜で俵型の種子(豆)が入っています。果実は10月下旬ごろから、天気のいい日などに果実が十分に乾燥すると、はじけて黒褐色に熟した種子を飛ばします。この時期に本種の生育する場所に行き、少し耳をすますと、あちこちから「パチン、パチン」という果実がはじける音が聞こえます。

果実は乾燥すると、ねじれるように裂開して種子をはじき飛ばす。 種子は5~7㎜の俵型で、秋に黒褐色に熟す。
▲果実は乾燥すると、ねじれるように裂開して種子をはじき飛ばす。 ▲種子は5~7㎜の俵型で、秋に黒褐色に熟す。

本種は栽培種であるダイズに近縁で、染色体数も同じ(2n=40)であり、両者が交配した場合には稔性のある種子をつくります。このようなことから、ただ近縁というわけではなく、ダイズは本種を栽培種として改良したもの、つまり本種は大豆の原種にあたると考えられています。全体の大きさを別にすれば、果実に茶褐色の毛があることや花色など、似た特徴があります。異なる特徴としては、種子などの大きさはもちろんですが、他にもダイズの茎はツルにならず、直立することや、現在のダイズの種子は普通薄い褐色で丸形ですが、本種の種子は黒褐色でアズキのような俵形をしていること、本種の果実は熟すと裂開して種子をはじき飛ばしますが、ダイズは種子が熟しても裂開しない、などの違いがあります。ダイズの原種ということで、食べることもできますが、ダイズに比べて種子のサイズが小さいうえ、熟すと種子がはじけ飛んでしまうので、食糧として利用できるほど大量に集めることは難しく、現在では食用に利用されるようなことはないようです。ただ、青森県にある三内丸山遺跡からは本種と考えられるマメが出土しているそうですので、5,500~4,000年ほど前、ダイズ栽培が伝播する以前には食用として利用されていたようです。

小葉は狭卵形~披針形で、ダイズの葉などのように幅広くなく、両面には伏した毛がある。 ダイズの果実との比較(左:ツルマメ、右:ダイズ)果実が小さく、現在では食用に利用されることはない。
▲小葉は狭卵形~披針形で、ダイズの葉などのように幅広くなく、両面には伏した毛がある。 ▲ダイズの果実との比較(左:ツルマメ、右:ダイズ)果実が小さく、現在では食用に利用されることはない。

 

本種は1年草ですが、非常に丈夫で成長の旺盛な植物です。5月下旬~6月頃、他の草本が成長した後に発芽を始め、他の植物に巻きついて成長し、植物群落の上部まで達すると、今度は他の植物に覆いかぶさるように広がります。適度に湿り気のある土壌であるほうが成長量は大きくなるようですが、日当たりが良く、かなり乾燥するような環境でも十分に生育します。当園内でもあちこちに生育しており、年によってはユウスゲ植栽地などの全面に繁茂し、覆い尽くしてしまうこともあります。この繁殖力を逆手にとって、当園事務所の「緑のカーテン」にしてみたことがありますが、非常に見事なカーテンができました。乾燥にも強い植物ですので、多少水やりを忘れても枯れにくく、種子が熟すのは秋深くなってからですので、それまでに処分してしまえば、種子が落ちて雑草化することはありません。花が地味であることをのぞけば、緑のカーテン用植物としてはかなり優秀ではないかと思いますので、一度、試してみていただければと思います。 (2014.9.28)

条件がそろうと、非常に旺盛に成長する。当園のユウスゲ植栽地で繁茂し、ユウスゲを覆い尽くした様子。 植物園の事務所の「緑のカーテン」として利用してみた様子。乾燥にも強く、育てやすい。
▲条件がそろうと、非常に旺盛に成長する。当園のユウスゲ植栽地で繁茂し、ユウスゲを覆い尽くした様子。 ▲植物園の事務所の「緑のカーテン」として利用してみた様子。乾燥にも強く、育てやすい。

 

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