重井医学研究所附属病院
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多様な病状に対応した透析医療
2017.1

 1979年11月1日に腎臓病を専門とする病院として開院した当院は、開設時から末期腎不全の血液浄化療法に取り組んでおり、現在、120台の血液透析患者監視装置で県内最多の約350名の患者さんの血液透析を行っています。

 開院当初に腎不全の原因の大半を占めていた慢性糸球体腎炎は、医学の進歩により治療可能な病気となり、透析に至る患者さんは激減しております。その一方で、糖尿病・動脈硬化といった生活習慣病による透析患者さんが増加し、透析導入年齢の高齢化が進んでいます。

 当院では、このような透析患者さんの変化に対応して、個々の患者さんに合った血液浄化療法を選択するよう心がけています。


● オーバーナイト透析
 患者さんの数が減ったとはいえ、若くして血液透析を受けないといけない患者さんは毎年のように発生しています。

 体格がよく体の代謝の旺盛な働き盛りの患者さんでは除去すべき老廃物の量も多く、従来の週3回4時間の透析では血液浄化が不十分で、高リン血症、高血圧などの症状に対し、飲み薬の追加で対処しているのが現状です。

 最近、国内から週18時間以上の長時間透析を行うと、透析合併症の改善、予後の改善が得られることが報告されるようになっています。こういった背景から、当院でも通常の透析枠を利用して週3回6時間の長時間透析を行い、高リン血症、高血圧、腎性貧血が改善して、薬剤の減量が可能となった患者さんを経験してきました。ただ、そのような透析は、働き盛りの患者さんでは時間的制約があり、実施可能な患者さんが限られること、飲み薬は減量できますが、週24時間以上の透析患者さんと比べると減量効果が劣る欠点も明らかになってきました。

 そこで、当院では深夜の時間を利用した1回8時間(週24時間)のオーバーナイト透析を2015年3月より試験的に導入しました。
従来の透析と比べ、高リン血症、高血圧、腎性貧血の改善が著しく、リン吸着薬、降圧剤、エリスロポエチン製剤が、1回6時間透析の患者さんと比べても大幅に減量できることが分かってきました。

 2017年春からは、実施可能なベッドを現在の4床から順次増床して受け入れ患者さんを増やす予定です。働き盛りで透析不足の患者さんを第一の候補に患者さんを募っていく予定にしています。

 一方で、長時間透析といえども、腎臓の機能としては健康人の10~20%程度しか代行できておらず、健康人とまったく同じ食生活ができるわけではありません。特に、塩分やリン(特に食品添加物などの無機リン)については注意が必要です。また、夜間に透析を行うために、安全性を考慮して心臓や脳に異常のある方は対象から外しています。さらに、長時間の透析によって老廃物だけでなく、栄養素もある程度抜けてしまうのも長時間透析の特徴で、バランスよく十分量の栄養を摂取することも必要になってきます。

● 残腎機能を生かした週1~2回の血液透析あるいは腹膜透析
 かつて透析患者さんの大半を占めた慢性糸球体腎炎は、血液をろ過する糸球体すべてが侵されるために尿がまったく出なくなり、週3回の透析が必要でした。

 最近増加している生活習慣病、高齢者の腎不全の患者さんの中には、糸球体がある程度残存するために尿量が保たれ、腎不全の進行速度がゆっくりである患者さんがおられます。また、高齢者では体の代謝が落ちて老廃物の産生量が少なくなり、若い人ほど血液浄化を行わなくても体のバランスを取ることができる特徴があります。このような患者さんについては、いきなり週3回の透析を
導入するのではなく、週1~2回の透析あるいは腹膜透析で腎不全状態を改善させることが可能になっています。

 日本の血液透析は透析施設に通院するスタイルが一般的で、交通手段に制約のある高齢者にとっては通院が大きな負担になっています。当院では透析回数を減らすことで、通院の負担をとるような配慮を行っています。

 以上、述べてきましたように、当院は、患者さんの病状・生活環境に応じたテーラーメードの透析医療を提供するよう心がけています。そして、これらの医療を通じて患者さんが質の高い人生を送れるよう一層支援して参ります。

 
オーバーナイト透析によるQOLの向上
2017.1


●オーバーナイト透析とは
 深夜時間帯の睡眠時間を利用して行う長時間透析です。8時間透析ですが、夜間の就寝中行うため十分な透析を無理なく行うことができます。身体に蓄積された尿毒素や水分を、ゆっくりと時間をかけながら除去するため身体への負担が少なく、血圧の安定やお薬の減量、貧血の改善が期待できる透析方法です。

 これまで仕事と治療の両立で苦労されていた方や、もっと日中の時間を活用したい方、負担のない長時間の透析を希望されている方にとって、とても有意義な透析方法です。

● オーバーナイト透析の流れ
 21~22時の間に透析を開始し、22時30分消灯で翌朝の5~6時に透析を終了します。8時間と聞くと気が遠くなるように感じられると思いますが、実際の体感時間は、そこまで長く感じられません。睡眠と透析を同時に行うため、日中の時間が有効に活用できます。

 現在、オーバーナイト透析を受けられている患者さんは、21時30分頃来院され治療を開始、6時過ぎには治療が終わります。その後、一度自宅に帰り家族と一緒に朝食を済ませ仕事に出かける方や、朝の交通ラッシュを避けて、病院から直接職場に向かわれ、職場で少しゆっくりと時間を過ごし、仕事に就かれる方もいらっしゃいます。

期待される治療効果
・通常の透析では除去されにくい物質、毒素を除去できる(痒みやムズムズ感の解消)
・血圧の安定(降圧剤の減量や不要)
・貧血の改善(造血剤の減量や不要)
・栄養状態の改善(筋肉量の増加や体脂肪の減少)


●日常生活でのメリット
・睡眠時間を利用し透析することで、日中の時間を自由に使える
・食事制限がやや緩やかになり、しっかり食事が摂れ、活力が出てきた
・定時まで仕事ができ、自宅で夕食・入浴を済ませて来院できるようになった
・夕方、子供の習い事の送迎や家族そろっての食事が摂れるようになったなど

●オーバーナイト透析のデメリット
・透析(針や機器)が気になって眠れない
・夜中に家を不在にするなど

●費用について
 保険請求は通常の血液透析と同じになりますので、別途、治療用がかかることはありません。ただし、設備使用料などのご負担をお願いする場合もございます。


●注意していただきたいこと
・オーバーナイト透析と通常の透析を併用することはできません
・体調不良がある場合は、オーバーナイト透析は出来ませんので、直ちに病院へ連絡してください
・来院が遅くなる時は、必ず連絡してください
・治療前の飲酒は慎んでください
・臨時透析でのオーバーナイト透析はお受けできません

●オーバーナイト透析の適応とは
 透析治療中の状態が安定している方が対象で、原疾患や合併症の有無により可能かどうか決定します。また、検査などで午前中の外来を受診していただく場合も有ります。したがって、すべての方が適応となる訳ではありません。詳しくは、当院血液浄化療法センター担当者までお問い合わせ下さい。

当院での治療成績
(H28年11月末現在施行中の患者4名)

・薬剤の変化
薬剤
降圧剤
リン吸着薬
ESA製剤
変わらない
使用していない
1名
減量
3名
3名
3名
増量

・InBody結果1例(kg)
DW
骨格筋
ESA製剤
導入前
91.5
36.9
26.6
導入1年後
90.5
37.6
24.8

 
健康運動指導士による質の高い運動療法 2017.1

―健康運動指導士とは―
 健康運動指導士は、主にスポーツクラブや保健所・保健センター、病院・介護保険施設などで活躍しています。具体的には、人々の健康を維持・改善するために個々の心身の状態に応じて、安全で効果的な運動を実施するためのプログラムの作成や指導を行っています。

 近年、透析患者の高齢化や透析期間の延長により、体力・筋力低下している患者さんが多くみられ、『運動療法』は、それらを予防する上で非常に要な要素です。当院では、平成27年4月よりリハビリテーション部に健康運動指導士が配属され、様々な運動指導を開始しました。

―当院での活動内容―
● 透析外来
 外来透析患者さんの個々に合わせた運動プログラムの作成やセルフエクササイズの指導を行い、体力・筋力の維持・向上を目標に積極的なサポートをしています。また、運動習慣を身に付け継続していただき、身体活動量が低下しないように日常生活の中で出来る運動の指導もしています。

教育入院
 糖尿病で教育入院の患者さんに対して、血糖値の改善や運動習慣をつけることを目標に運動指導をしています。まずは、運動の種類や効果に加えて楽しさを伝えることで、運動に対する意欲の向上を促しています。次に、実際に一緒に身体を動かしてもらうことで、更なる理解を深め、データを見ながら改善することを実感していただきます。退院時には、自宅でも実践してもらえるような資料を作成し、継続できるよう指導しています。現在は、糖尿病患者だけではなく、慢性腎不全患者の教育入院でも指導を始めています。

 当院で開催している公開講座では、講演の合間で健康運動指導士が先導して岡山市が考案したOKAYAMA市民体操を行い、各教室の最後にホームエクササイズの紹介を行うなど、多方面で活躍をしています。

学会大会での発表
 平成28年10月22、23日の2日間で兵庫大学にて開催された第14回日本運動処方学会大会に参加し、学会賞(小野三嗣賞)に選ばれ、大変貴重な経験をさせていただくことができました。

今後の展望
 今後の新しい取り組みについては、血液浄化療法センターの待合所にあるテレビ画面を通して、体操や運動の紹介を患者さんに向けて行っていく予定です。その目的は、一人で運動することや家で運動することがなかなか継続出来ない方に、少しでも運動していただく機会を作り、運動の大切さ・楽しさを知ってもらうきっかけになればと考えております。また、健康運動指導士が運動についてのアドバイスや質問にも答え、患者さんが日常生活を楽しく長く過ごせるお手伝いをしていきたいと考えています。

 しっかり運動したいという方は、個別での対応もできますので、是非声をかけてください。2017年の春頃を目標に計画を進めていますので、よろしくお願いします。


当院の健康運動指導士

三田静香(みたしずか)
隠木彩(いんきあや)

 

 

 



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