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園内花アルバム

ノブドウ(ブドウ科) Ampelopsis glandulosa var. heterophylla

果実は食用ブドウのような房にはならず、秋に青~赤紫、白色など様々な色に熟す。食用にはならない。 茎はつる性で、巻きひげで他の樹木などに絡みついて登っていくが、あまり高いところまでは登らない。
▲果実は食用ブドウのような房にはならず、秋に青~赤紫、白色など様々な色に熟す。食用にはならない。 ▲茎はつる性で、巻きひげで他の樹木などに絡みついて登っていくが、あまり高いところまでは登らない。

 

ノブドウは「野葡萄」の名の通り、日本全国の山野や路傍に生育する落葉性のつる性植物です。国外では中国大陸など東アジアに広く分布します。葉は互生ですが、巻きひげや花序(花の集まり)が葉と対になって着きます。葉は長さ3㎝程度から20㎝ほどのものまで、様々な大きさのものがあります。また、3~5裂するとされる葉の切れ込み具合も浅いものから深いものまで様々で、同じ個体の中でも様々な形の葉があり、形だけを見ると、同じ個体とは思えないほどです。特に深く葉が切れ込むものはキレハノブドウ A. glandulosa var. heterophylla f. citrulloides として区別することがあります。茎は若い枝では緑色ですが、古い枝や根元部分は茶色に木質化します。

葉の形は変異が多く、写真のような切れ込みの浅いものから深く切れ込むものまで、さまざまである。 切れ込みの深い葉。特に切れ込みが深いものは品種としてキレハノブドウと呼ぶことがある。
▲葉の形は変異が多く、写真のような切れ込みの浅いものから深く切れ込むものまで、さまざまである。 ▲切れ込みの深い葉。特に切れ込みが深いものは品種としてキレハノブドウと呼ぶことがある。

 

花は淡緑色で8月頃に咲き、果実は9~10月頃、青色から赤紫、時に白色など、様々な色に熟し、鳥に食べられることによって種子があちこちに散布されます。果実は普通直径1㎝弱ですが、ブドウミタマバエやブドウトガリバチといった昆虫の幼虫が果実の中にしばしば寄生することがあり、特にブドウミタマバエの幼虫に寄生された果実は大きく歪に肥大し、直径2㎝ほどにもなることがあります(改訂前の本稿では「果実が様々な色に熟すのは、昆虫の寄生のため」としていましたが、これは誤りで、本種の果実は正常な状態で様々な色に熟します)。果実に寄生する昆虫は複数いるようで、昆虫の種類によっては果実がほとんど肥大しない場合もあるようです。また、茎の内部にもブドウスカシバなどの幼虫が寄生することがあります。このブドウスカシバの幼虫は「ぶどう虫」と呼ばれ、渓流釣りの高級な餌として珍重されます。

葉裏の葉脈を除いて、葉の表裏ともに普通は無毛。エビヅルやヤマブドウなどは裏面全面に白色や褐色のクモ毛を敷く。 熟したノブドウの果実と種子。食用ブドウのような果肉はなく、果実の内部はほぼ種子で占められている。
▲葉裏の葉脈を除いて、葉の表裏ともに普通は無毛。エビヅルやヤマブドウなどは裏面全面に白色や褐色のクモ毛を敷く。 ▲熟したノブドウの果実と種子。食用ブドウのような果肉はなく、果実の内部はほぼ種子で占められている。


本種はブドウ科の植物ではありますが、野生のブドウの仲間であるエビヅルやヤマブドウ、栽培されるマスカットなどの食用ブドウ(Vitis/ブドウ属)などとは別属(ノブドウ属)で、花序は房状にならず、果実も食用ブドウのような果肉はほとんど無く、内部は数個の種子が大部分を占めていて味もおいしくないので食用にもなりません。ただし、乾燥させた茎葉や根は「蛇葡萄」、「蛇葡萄根」と呼ばれて関節痛などの生薬として用いられます。「蛇葡萄」とは、中国での名前(漢名)でもあります。ヘビイチゴ(蛇苺)などと同様、人間は食べず、ヘビが食べるものということで名付けられたとされますが、つるが長く伸びて樹木に這い登る様子もまさしくヘビのようです。

 岡山県では県南から県北の中国山地まで全域に生育しています。県内には実が食べられるブドウ属の植物として、ヤマブドウ、エビヅル、サンカクヅル(ケサンカクヅル含む)、アマヅル、シラガブドウの5種がありますが、サンカクヅル、アマヅルを除いて、葉の裏全面にクモ毛(綿をクモの巣状に薄く伸ばしたような毛のこと)がありますので、葉の裏を見れば本種とは容易に区別が可能です。当園でも園内のあちこちに自生していますが、油断すると植栽している樹木などに絡みついて這い登ってしまい、剪定作業などの際に枝が切りにくくなったり、樹木の見栄えが悪くなるので困りものです。本種のつるを切った際には、クリスマスリースの輪などにしてみたり、有効活用の方法を考えていますが、若い部分は丈夫でなく、古い部分は木質化して硬いので曲げにくく、クラフトをするには扱いづらい素材です。

(2017.11.30改訂)

昆虫の幼虫が寄生した果実(白色の大きな果実)。通常の果実より大きく肥大し、歪な形状となる。 ノブドウのつるで作成したリースのベース(輪)。巻ひげは枯れても落下せず、つるに残っている。
▲昆虫の幼虫が寄生した果実(白色の大きな果実)。通常の果実より大きく肥大し、歪な形状となる。 ▲ノブドウのつるで作成したリースのベース(輪)。巻ひげは枯れても落下せず、つるに残っている。

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