今回の「岡山県レッドデータブック2020(以下RDB2020と略)」の最大の特徴は、前回の「岡山県レッドデータブック2009(以下RDB2009と略)」と比較して対象となる昆虫が172種から265種と約1.5倍にもなったことです。残念ながら新たに3種が「絶滅」になってしまいました。以下、「絶滅危惧T類」が+13種、「絶滅危惧U類」が+31種というように大幅に増加しています。「留意」のみが−34種ですが、これは上位のカテゴリーに移行していったためであり、決して好転しているわけではありません。
これら増加した種を分析してみますと、草原性昆虫と水生昆虫が大変目立ちます。例えば今回「絶滅」となったチョウ2種は草原性のものであり、他の昆虫でもこの傾向が見られます。水生昆虫では、ゲンゴロウの仲間がRDB2009の8種から、RDB2020では一気に21種に増加しました。水辺を生活の場とするトンボの仲間も同様です。この草原と水辺という2つの環境は深い山の中にではなく、身近な里山にあるものです。里山の崩壊が進むにつれ昆虫の生息環境はますます悪化し、今後RDB対象の昆虫がさらに増えていくのではと懸念されています。
今回のRDB2020の発行を受けて、倉敷昆虫館ではこのコーナーの展示を新しくしました。しかし展示スペースから、最大でも95種程度が限界です。
そこで ●「絶滅」と「絶滅危惧T類」は当館に標本がある限りすべてを展示
●「絶滅危惧U類」と「準絶滅危惧」は一般の方にもよく知られているものを選定。
(タガメやハッチョウトンボなど)
●「情報不足」と「留意」のカテゴリーの種は残念ですが展示していません。
なお個々の昆虫の紹介については、今後倉敷昆虫館FBに掲載していきますので、ぜひご覧になってください。
これらの展示を通じて来館者の皆様のご理解が深まり、岡山県の昆虫の保護につながっていけばと願っています。
岡山県版レッドデータブック2020
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