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おかやまの植物事典

アメリカイヌホオズキ (ナス科)    Solanum emulans

北アメリカ原産の外来(帰化)植物。 日当たりの良い道ばたなどに生育し、岡山県でも全域でごく普通に見られる。 花は夏以降、結実しつつ初冬まで見られる。花冠は5裂、直径0.5~1cmほど。 この花は白色だが、紫色を帯びる場合が多い。
▲北アメリカ原産の外来(帰化)植物。 日当たりの良い道ばたなどに生育し、岡山県でも全域でごく普通に見られる。 ▲花は夏以降、結実しつつ初冬まで見られる。花冠は5裂、直径0.5~1cmほど。 この花は白色だが、紫色を帯びる場合が多い。

アメリカイヌホオズキは、北アメリカ原産の外来(帰化)植物で、北海道から沖縄まで、全国各地の道ばた、畑地、牧草地など、日当たりの良い場所に生育する40~80cmほどの一年草です。 日本以外でも「南アメリカやアジアに帰化している」(清水矩宏・森田弘彦・廣田伸七 編・著.2001.日本帰化植物写真図鑑.全国農村教育協会.p.284)とされます。 岡山県においても、北部の中国山地から南部の平野部まで、ほぼ全域に分布しており、在来種のイヌホオズキ S. nigrum よりも普通に見られるイヌホオズキの仲間となっています。 本種は図鑑によっては学名(種小名)が、 americanum もしくは  ptychanthum とされている場合がありますが、これらの名は現在ではどちらも近縁のテリミノイヌホオズキを指すとされ、本種は emulans の種小名が用いられるようになっています〔Flora of North America Editorial Committee, eds. 1993+. Flora of North America North of Mexico [Online]. 25+ vols. New York and Oxford. http://beta.floranorthamerica.org. Accessed 4 December 2025.〕

花は夏頃から咲き始めますが、結実しつつ初冬頃まで咲き続けている株もしばしば見られます。 花は分枝した枝の途中あるいは葉の付いている箇所の逆側に散形の花序を多数出し、2~6個の花を付けます。 花序軸は長さ1~2.5 cm、花柄は0.5~1cmほどで、花柄はイヌホオズキのように付く場所がばらついては付かず、花序軸の先端にまとまって付きます。 花序軸、花柄には伏した短毛があります。 花冠は5裂し、直径0.5~1cmほどで、淡紫色から白色をしています。 白色の花冠よりも淡紫色を帯びた花冠の方が多い傾向がある印象ですが、生育環境によっては同じ個体にほぼ白色の花と紫色を帯びた花が混在する場合もあります。

果実は直径0.5~1cmの球形の液果で黒色に熟す。 果実の光沢は、かなりあったり、あまりなかったりと幅がある。 果実内部には多数の種子が詰まっている。 種子数はかなり幅があるようで、多いものでは100粒を超える。
▲果実は直径0.5~1cmの球形の液果で黒色に熟す。 果実の光沢は、かなりあったり、あまりなかったりと幅がある。 ▲果実内部には多数の種子が詰まっている。 種子数はかなり幅があるようで、多いものでは100粒を超える。

果実は直径0.5~1cmほどの球形の液果で、黒色(黒紫色)に熟します。 果実の表面は光沢がありますが、「やや光沢がある」程度の、在来のイヌホオズキの果実にも似たものから、かなり強い光沢のあるものまで幅があり、特に強い光沢のある果実は、テリミノイヌホオズキと見分けにくくなります。 果実内部には多数の種子があり、多い場合は100粒を超える場合があります。 種子は長さ1~1.3mmで淡黄色、表面には細かな網目模様があります。 本種の果実内部には、「球状顆粒」と呼ばれる硬い顆粒が4~10個含まれ(勝山輝男, 2018. ナス科. 神奈川県植物誌調査会編, 神奈川県植物誌2018 電子版. 神奈川県植物誌調査会, 小田原. p1364.)、球状顆粒を含まない在来のイヌホオズキとの区別点になります。 また、岡山県南部などでは、花(果)柄が花序軸にばらついて付き、弱い光沢のある果実をつける、南アメリカ原産の外来種、オオイヌホオズキ S. nigrescens もしばしば見られます。

種子(上)は長さ1~1.3mm、淡黄色で表面には細かな網目模様がある。 1果実あたり4~10個の球状顆粒(下)を含む。 葉は質薄く、卵形~長卵形。 葉縁は全縁か大型の歯牙がある。 葉の表裏には短毛があるが、密度には幅がある。
▲種子(上)は長さ1~1.3mm、淡黄色で表面には細かな網目模様がある。 1果実あたり4~10個の球状顆粒(下)を含む。 ▲葉は質薄く、卵形~長卵形。 葉縁は全縁か大型の歯牙がある。 葉の表裏には短毛があるが、密度には幅がある。

葉は薄く、長さ3~15cmほどの卵形~長卵形で、葉縁は全縁または大型の歯牙(鋸歯)があり、表裏には短毛が生えています。 葉の大きさ、歯牙の形状・大きさ、表裏の毛の密度のいずれも変異の幅が大きいため、葉だけでの見分けは困難です。 なお、本種をはじめとするイヌホオズキの仲間には同属の植物であるジャガイモの芽にも含まれるソラニンという毒成分が全体に含まれており、有毒植物として扱われます。

光沢がまったくない、在来のイヌホオズキS. nigrum の果実。 花(果)柄が花序軸にばらついて付くことも特徴のひとつ。 オオイヌホオズキ S. nigrescens の果実。 花(果)柄が花序軸にばらついて付き、果実に弱い光沢がある。
▲光沢がまったくない、在来のイヌホオズキS. nigrum の果実。 花(果)柄が花序軸にばらついて付くことも特徴のひとつ。 ▲オオイヌホオズキ S. nigrescens の果実。 花(果)柄が花序軸にばらついて付き、果実に弱い光沢がある。

イヌホオズキの仲間は、よく似た外来種が多く、分類学上も様々な立場・見解があるグループです。 図鑑などでは、出版時期によっても記載内容が異なる場合があり、できる限り新しい情報を反映した図鑑を参照し、複数のポイントを確認することが種を同定(見分け)するには重要になります。 当園周辺で見られることが多いイヌホオズキの仲間は、本種、イヌホオズキ、オオイヌホオズキの3種で、それらのおもな区別点を整理すると、以下の表のようになります(当園周辺での観察結果であり、他の地域では当てはまらない可能性があります)。

和名 花柄 花色 果実の光沢 種子サイズ 球状顆粒
 アメリカイヌホオズキ まとまる 白~淡紫色(混在) 弱光沢~強光沢まで幅がある 長さ1~1.3mm ある
 オオイヌホオズキ ばらばら ふつう白色(淡紫色を帯びる場合もある) 弱い光沢 長さ1~1.3mm ある

 イヌホオズキ

ばらばら ふつう白色(淡紫色を帯びる場合もある) ほぼ光沢なし 長さ約2mm なし

(参考)テリミノイヌホオズキ

まとまる ふつう白色 強い光沢 長さ1.5mm ないか、1~2個

 

 

 

 

 

(2025.12.6)

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