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おかやまの植物事典

ネズミモチ(モクセイ科) Ligustrum japonicum

6月頃、枝先の円すい状の花序に、白色の小花を多数咲かせる。 小花は先が4裂して平開する。花の外部に突き出した花糸(雄しべ)が目立つ。
▲6月頃、枝先の円すい状の花序に、白色の小花を多数咲かせる。 ▲小花は先が4裂して平開する。花の外部に突き出した花糸(雄しべ)が目立つ。

 

ネズミモチは関東地方以西の本州、四国、九州、沖縄から国外では台湾など暖地の森林に生える常緑低木です。低木とは言っても、高さは5m程度にまで成長しますので、小高木と表記されることもあります。海岸に近い地域の森林の日当たりの良い場所でよく見られますが、耐寒性もあり、岡山県では県中部の吉備高原地域など内陸部においても比較的普通に見られる樹木です。幹は灰褐色で粒状の皮目があり、枝は良く分枝します。葉は対生し、全縁、革質で厚く光沢があり、長さ4~8㎝、幅2~5㎝程度の楕円形をしています。葉の形は生育環境によって幅があり、日当たりが良く乾燥しがちな場所では小さめで分厚く丸い葉となりますが、日当たりのあまり良くない場所では薄く、広卵状で先端がやや尖った形となります。花は6月頃、枝先の円すい状の花序に、白色の小花を多数咲かせます。小花は先が4裂して平開しており、2本の花糸(雄しべ)と1本の花柱(雌しべ)が花の外部に突き出した形となります。果実は長さ8~10㎜、幅5~7㎜の楕円形をしており、晩秋から初冬に黒紫色に熟します。

葉は対生する。葉の形は生育環境等によって変わる。写真はやや日当たりの悪い場所に生育していたもの。 樹皮は灰褐色で、粒状の皮目がある。皮目は枝にも見られる。
▲葉は対生する。葉の形は生育環境等によって変わる。写真はやや日当たりの悪い場所に生育していたもの。 ▲樹皮は灰褐色で、粒状の皮目がある。皮目は枝にも見られる。

 

「ネズミモチ」とは、「鼠黐」で、黒紫色に熟す果実がネズミの糞に似ていて、葉の質感がモチノキ(黐の木:黐=鳥モチ)の仲間に似ていることから、その名が付いたとされます。しかしながら、モチノキはモチノキ科で、本種はモクセイ科であり、分類上は全く別の仲間です。別名としてタマツバキの名もありますが、これも葉がツバキの葉に似て、鋸歯がない(全縁)であることに由来すると思われます。

本種は萌芽性が強く、剪定にもよく耐えるので、しばしば生け垣などとして人家に植えられることもあります。ただし、最近では、中国原産のトウネズミモチ(唐鼠黐)が公園など緑地によく植栽されており、植物の知識のない方は、在来の本種との違いが分かりにくく、混乱をされている場合が良くあります。本種とトウネズミモチの見分けは、1.果実の形(本種の果実は楕円形、トウネズミモチはほぼ球形に近い)、2.葉を光に透かして見た場合の側脈(本種の葉は側脈が目立たないが、トウネズミモチの側脈は白く透ける)の2点が最もわかりやすい区別点となります。また、生育状態によって見分けにくいこともありますが、トウネズミモチは樹高10mを超え、本種よりも大きくなり、葉や花序のサイズも大きく、実付きもよいなどの違いがあります。

果実は晩秋~初冬頃、黒紫色に熟す。 葉を光に透かしても、側脈はほとんど見えない。トウネズミモチの場合、側脈が白く透けて見える。
▲果実は晩秋~初冬頃、黒紫色に熟す。 ▲葉を光に透かしても、側脈はほとんど見えない。トウネズミモチの場合、側脈が白く透けて見える。

 

本種やトウネズミモチの果実は、煎じたり、酒につけて薬用酒としたりして、利尿や強壮の薬として用います。また、葉や樹皮も解熱等の効果のある生薬として利用されます。本種もトウネズミモチも同様の効能があるため、生薬としては大抵の場合、区別されませんが、区別する場合は、本種が「和女貞(女貞=トウネズミモチの中国名)」となるようです。

当園では、湿地エリアの一部に本種を植栽しています。温室エリアのトウネズミモチに比べて目立ちませんが、梅雨時期に雨に濡れて咲く白い花はなかなかの美しさです。

(2014.12.21)

左:ネズミモチ、右:トウネズミモチの果実。トウネズミモチは本種より実付きが良く、果実は球形。 モチノキの赤い果実。本種は“モチ”と付くが、葉の質感が似ていることに由来し、モチノキ科ではない。
▲左:ネズミモチ、右:トウネズミモチの果実。トウネズミモチは本種より実付きが良く、果実は球形。 ▲モチノキの赤い果実。本種は“モチ”と付くが、葉の質感が似ていることに由来し、モチノキ科ではない。

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