2025.9
岡野貴司
2025年3月31日、「岡山県版レッドデータブック2020」を補足する形で「岡山県版レッドリスト2025」が岡山県より発表されました。昆虫分野ではこれまでの絶滅9種に加えて新たに3種が岡山県から姿を消したと判定されました。 倉敷昆虫館では「岡山県レッドリストコーナー」を設け、絶滅から準絶滅危惧までの代表的な種を展示しています。今回、新たに絶滅と判断された昆虫3種を紹します。
※2025年9月現在の選定情報です。
岡山県版レッドリスト2025 で追加された絶滅種 @セマルオオマグソコガネ
セマルオオマグソコガネはコガネムシ科の糞虫で、放牧場などの牛馬の新鮮な糞に集まってきます。全国的に減少が著しく、岡山県では鏡野町で50年以上前に採集された記録があるだけです。
当館には標本がありませんので、山地さん(倉敷昆虫同好会)が北海道で採集した標本の写真を提供していただきました
岡山県版レッドリスト2025 で追加された絶滅種−トップページに戻る
オオヒラタトックリゴミムシはオサムシ科のコウチュウです。本州、四国、九州に分布していますが全国的にも生息地が限られている上、さらに近年減少が著しいようです。
岡山県では1963年8月19日に倉敷市阿知で採集(写真:倉敷市立自然史博物館提供)されましたが、未だに追加記録が出ないため残念ながら絶滅と判定されました。池や湿地を主な生息地としていますが、そのような環境の減少・悪化が絶滅の要因と考えられます。なお、国外では東南アジア、インド、スリランカに分布しています。
オオサカアオゴミムシはオサムシ科のコウチュウで本州と四国に分布していますが、どの地域でも減少しています。
岡山県では1963年4月4日に倉敷市酒津の高梁川で採集(写真:倉敷市立自然史博物館提供)されましたが、その後の記録がないことから絶滅と判断されました。
生息環境は泥地の石の下などですが、衰退している昆虫には湿地や水辺を生息域としているものが多く、オオヒラタトックリゴミムシなども同様でした。なお国外では中国に分布しています
虫の世界 トップページに戻る