病院の中にこんちゅうかん!? 倉敷昆虫館
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 冬の虫たち 追加編

2026.3.3

岡野貴司  

 

冬の虫については何度か紹介してきました。例えば「チョウとガの越冬」、「冬の虫の楽しみ方」などです。そこでピックアップできていなかった虫を「追加編」として紹介していきます。
(倉敷昆虫館Facebookで連載していたものをまとめました)

  @ テングチョウの越冬 E ウバタマムシの越冬  
  A アカタテハの越冬 F カメムシ類の越冬  
  B フクラスズメの越冬 G

ヒロヘリアオイラガの越冬

 
  C フユユスリカ H

サツマヒメカマキリの越冬

 
  D ウスタビガの越冬      

 冬の虫たち(追加編) @テングチョウの越冬


 成虫で越冬しますが、冬でも暖かい日には「ねぐら」から元気に飛び出してきます。春になるとエノキの新芽に産卵して次の世代に託していきます。しかし、かなりの長生きで5月下旬に子どもの世代と混在していることもあります。

 生態写真は2016年1月に御津町(現:岡山市北区)で、標本は1962年6月に高梁市玉川で採集されたものです。

  
            

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 冬の虫たち(追加編) Aアカタテハの越冬

 
 前回のテングチョウと同じタイプです。つまり成虫越冬ですが、真冬でも暖かい日には「ねぐら」から飛び出してきます。古い木材が積み上げられた隙間から出てきたアカタテハを目撃したことがあります。大きさは中型で、標本のように前翅の赤い帯が鮮やかなので、冬枯れの中を飛んでいる姿はかなり目立ちます。岡山県には同じグループのタテハチョウが数種います。キタテハはアカタテハ同様暖かい日には飛び出してきますが、ルリタテハやヒオドシチョウは冬眠に入ったら春までほとんど動きません。

 標本は1995年に井原市稗原町で採集したものです。

               

                   

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 冬の虫たち(追加編) Bフクラスズメの越冬


 野鳥のスズメは冬に保温効果を高めるために羽毛の間に空気の層を作りますが、その時の丸くなった姿を「ふくらすずめ」と呼びます。冬の季語にもなっています。今日取り上げたフクラスズメは野鳥ではなくヤガ科のガで、成虫で越冬します。ボッテリとした太い胴体が特徴的で、「ふくらすずめ」を連想させることからこの名前がつきました。ただし見た目よりも成虫の行動は俊敏で、かなりのスピードで飛び回り、また地面ではゴキブリのように這い回ります。人家に潜り込んで集団で越冬することがよくあります。

 越冬の生態写真は2026年倉敷市の神社で撮影、標本は2010年の鏡野町で採集しました。

    

 

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 冬の虫たち(追加編) Cフユユスリカ


 フユユスリカは今までの越冬型とは異なり、冬にしか姿を見せない虫です。ではなぜこの季節を選んだのでしょうか。虫の天敵として野鳥、コウモリ、トカゲやカエル、トンボなどの昆虫やクモがあげられます。これらの天敵は冬になると餌の昆虫がいなくなるため南方へ渡るか、現地で冬眠に入るかのどちらかです。その天敵のいない隙間を狙って出現するのがこのタイプの虫です。フユユスリカは口吻が発達していないため餌を食べることができず、人の血を吸うことはありません。冬でも蚊柱を作り、そこで交尾が行われるのは夏の蚊と同じです。フユユスリカはごく普通の存在ですが、種類が多いため残念ながら写真の種名は同定できませんでした。

 成虫は2026年1月倉敷市五日市で採集、蚊柱は2023年1月倉敷市真備町で撮影しました。

  

 

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 冬の虫たち(追加編) Dウスタビガの越冬


 ウスタビガはヤママユ科の大型のガで、晩秋に羽化します。この写真を見て繭で冬越すると思われたかも知れませんが、そうではなく繭についている卵(黒色の粒)で越冬します。つまり、この繭は晩秋に羽化したメスの脱け殻です。ではなぜ脱け殻に卵がついているのでしようか。先に羽化したオスはメスが出す臭い(フェロモン)に反応して繭に集まってきて、メスが羽化した直後に交尾し、そのメスが直ちに繭の殻に産卵したのです。一般的には周辺の小枝などに産卵しますが、繭に産みつけるケースも少なくありません。

 繭は2025年1月に備前市日生夕立受山で撮影、成虫(メス)は2014年11月に鏡野町恩原高原で採集しました。

  

                           

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 冬の虫たち(追加編) Eウバタマムシの越冬


 タマムシ類の多くは成虫越冬ですが、今回のウバタマムシは幼虫と成虫の両方で越冬します。これはウバタマムシの幼虫期が数年と長いため、途中の何年かは幼虫越冬になるからです。馴染みの深いタマムシ(ヤマトタマムシ)と比較してみます。まず名前の「ウバ」ですが、「姥婆」とは年とった老女のことで、ウバタマムシはオスもメスも茶色(ただし奄美・沖縄の亜種は緑色)です。「ウバ」の名がつく昆虫は何種類かいますが、茶色を意味していることが多いです。これに対してヤマトタマムシは雌雄ともキラキラとした緑の金属光沢です。幼虫のエサとなる樹木はウバタマムシがマツ類、ヤマトタマムシはエノキ、ケヤキなどです。また成虫で越冬するヤマトタマムシが、ウバタマムシのように冬の暖かい日に動き出すということはないようです。

 生態写真は2023年1月倉敷市有城で撮影、標本は1949年7月に清音村(現:総社市)で採集しました。

      

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 冬の虫たち(追加編) Fカメムシ類の越冬


  家の中でカメムシを見つけて、悲鳴をあげた経験がありませんか。カメムシはその悪臭から嫌われることが多いですが、全てのカメムシが臭気を発するとは限りません。カメムシは種類の多いグループで、越冬場所も様々です。そして何種類かはよく人家に侵入して家具の隙間や壁の角、カーテンの間などで成虫越冬します。その岡山県南部での代表格としてツヤアオカメムシ(写真左:2022年総社市)、クサギカメムシ(写真中:1963年井原市)、チャバネアオカメムシ(写真右:2019年総社市)を選びましたが、ほかにも数種をあげることができます。ぜひ自宅で越冬しているカメムシを探してみてください。

 生態写真は我が家(倉敷市真備町)の洗面台の壁で越冬中のクサギカメムシ(2026.2.6撮影)です。

                       

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 冬の虫たち(追加編) Gヒロヘリアオイラガの越冬


 1930年に鹿児島県に侵入して西日本に拡がった南方系の外来種で、各地で在来種のイラガ類を席巻しています。かなりの広食性で、倉敷市ではサクラなどの各種バラ科、カキノキ、エノキなどでよく目撃しました。この幼虫は強烈な毒の刺毛を持っており、うっかり触れると痛い目にあいます。さてその越冬ですが、大きくなった幼虫が秋に繭を作り、その中で前蛹(蛹の一歩手前)になり、やがて蛹になります。その状態で冬を越し、翌春羽化して成虫になります。繭で越冬とザックリ表現しておけば分かりやすいのですが、厳密に表現しようとするとややこしくなります。

 繭の写真は倉敷市真備町で2026年2月にヤマモモで撮影しました。普通のイラガの繭と較べると随分軟らかいです。 標本も2024年6月に同地で採集しました。

   

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 冬の虫たち(追加編) Hサツマヒメカマキリの越冬


 このシリーズの最後に珍しいカマキリを紹介します。当館職員が2009年7月に吉備中央町で岡山県初として発見したサツマヒメカマキリ(地面上の成虫写真)です。馴染みのあるオオカマキリやハラビロカマキリなどは卵嚢または卵鞘とよばれる卵塊で越冬し、その卵塊の形で種類が分かります。灌木の小枝などで見つけられた方も多いと思います。ところがサツマヒメカマキリは3〜4齢の小さな幼虫で越冬するという変わり種です。岡山県では新見市、吉備中央町、岡山市北区での記録しかなく、まだ分布の全体像は把握できていません。

 枯葉に隠れて越冬している写真は2017年11月に同じく吉備中央町で撮影されました。

                    

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