重井医学研究所

分子細胞生物部門Division of Molecular Cell biology

分子細胞生物部門では<研究所目標>を実現するために、以下の研究方針を立てました

<研究方針>
1. 培養技術を使用あるいは応用した研究を行う。
2. モノクローナル抗体作製を主体に研究を行う。
3. 臨床に応用できる基礎研究を行う。
4. 共同研究を積極的に行う。

 分子細胞生物部門はこれまで重井医学研究所附属病院との共同研究により、人工腎臓を目指した腎臓細胞の分離培養を行い腎糸球体上皮細胞の確立に成功しました。現在では二次性副甲状腺機能亢進症でのPTH(副甲状腺ホルモン)産生の検討を行うための副甲状腺細胞の培養法の確立も検討しています。また種々の消化器癌細胞株を用いて、新規抗癌剤の細胞内での分子シグナル伝達経路を明確にしました。
 当研究所で開発されたラットリンパ節法は、従来の脾臓をリンパ球のソースとして用いる方法より10倍も高率にハイブリドーマを得ることが出来ますが、わたしたちはこの方法を用いて基礎研究、臨床研究に役に立つモノクローナル抗体の作製を行ってきました。
 これまでに岡山大学医学部、愛知がんセンター研究所、北里大学医学部など、多数の医師、研究者の方々と共同研究を行い、北里大学医学部との共同研究では、糖尿病性腎症早期において15型、18型コラーゲンが増加することに着目して、これらのモノクローナル抗体を用いた早期糖尿病性腎症の診断法の確立を目指しています。
岡山大学医学部薬理学教室との共同研究で作製した炎症性サイトカインの一つHMGB1に対するモノクローナル抗体は、脳梗塞治療薬、くも膜下出血後脳血管攣縮治療薬として平成18年度に2つの特許を取得しました。さらに、愛知がんセンター研究所との共同研究で得られたリン酸化ヒストンH3に対するモノクローナル抗体は、大手の試薬メーカーであるシグマアルドリッチ、BDバイオサイエンス、サンタクルーズなどから販売され、細胞分裂期のマーカーのひとつとして世界の多くの研究者に使用されています。
 このように、わたしたちに出来る技術を駆使して、それぞれの有用性を充分に発揮し、最終的には臨床医学に役立つ研究をして行きたいと考えています。

分子細胞生物部門が確立し、現在販売中のモノクローナル抗体

研究業績