血液浄化療法センター
日本腎臓学会腎臓専門医制度研修施設
日本透析医学会専門医制度認定施設
日本腎臓財団透析療法従事職員研修実習指定施設
当院は県内で最初に人工透析を始めたしげい 病院と同一法人(医療法人創和会)の病院です。慢性腎臓病は新たな国民病とも言われ、透析治療を受ける患者さんは国内で34万人を超え、岡山県でも約5,000人の透析患者さんがおられます。その約5,000人のうち約15%の方が創和会の2つの病院で治療を受けています。
当院では腎機能や患者さんのライフスタイルに応じた、さまざまな血液透析・腹膜透析を提供しており、小児から成人までの腎臓病を幅広く診察をしています。また、心肺機能の強化をはかり、 筋力を増強することで、合併症の症状が改善するように、腎臓リハビリテーションも行なっています。
現在は、COVID-19に対応した病床を確保して 新型コロナウイルスに感染した透析患者さんの 治療も行なっております。
2020年当院の腎臓内科では、外来患者677名、 入院患者197名、外来血液透析患者389名、腹膜透 析10名の診療を行いました。また、外科では透析シャント拡張術(PTA)1,071例、膜透析関連手術・ バスキュラーアクセス手術247例を行っています。
この数多くの患者さんの治療を支えているのが、透析に関わる内科医(8名)、消化器内科医(4名)、外科医(2名)です。診療科の垣根を越えて院内全体で慢性腎臓病の患者さんの治療にあたっています。また、血液浄化療法センターの看護師と臨床工学技士、薬剤師、管理栄養士、リハビリスタッフ、事務職員等、院内の各職種のスタッフが、患者さんの自分らしい生活を支えられるように治療を行っています。
1人1人に合わせた透析を
医師は主治医制、看護師は受け持ち制を採用することで患者さんを手厚くフォローしています。また、毎日多職種カンファレンスを行うことで愁訴などの患者さんの情報をチームで共有し、個々に適した治療を提供できるよう協働しています。
透析時には看護師・臨床工学技士合わせて30名以上のスタッフが勤務しており、患者さんの異変を早期に発見できるような体制を整えており、安心安全な透析治療を提供できるよう努めています。
オーバーナイト透析 Overnight Dialysis
オーバーナイト透析とは夜間の睡眠時間を利用して長時間透析(8時間)を行う治療方法です。
開始時間は21時~22時で、22時30分に消灯、翌朝5~6時に終了となります。
時間を十分確保することにより、ゆっくり透析を行うことができるので身体への負担が少なく、透析中の血圧が安定します。また、貧血の改善、内服薬の減量、良好な生命予後が期待できます。この治療では通常の透析と比べ体重制限や食事制限が緩やかとなるのもメリットの1つです。
仕事への支障も少なく家族との時間も取りやすくなるためQOLの向上にもつながります。実際に治療を受けている方からは「仕事での会食を気兼ねせずにできる」、「仕事が終わってから家族と食事をとってから透析治療を行うことができ、家庭と両立ができる」といった声をいただいています。
在宅血液透析 Home Hemodialysis
在宅透析は、自らの責任と自己管理に基づいて、住宅に設置した血液透析機器やその他の付属装置を作動させて、自ら穿刺し血液透析を行う治療法です。1日2~3時間、週6回以上の透析が理想で、頻回血液透析や長時間血液透析ができるため、生命予後も良いといわれています。
身体的・精神的な負担や時間的拘束が軽減されるとともに、ライフスタイルに合わせた治療が可能であり、QOLの向上が図れます。
レスパイト入院 Respite
在宅で介護を受けながら透析通院している患者さんが増加しています。レスパイト目的で、介護が必要な患者さんに対して1年に1回は家族面談の機会を作り、家での様子を聞かせていただくようにしています。その際、患者さんの家での様子だけでなく、ご家族の介護負担にも注意しお話を聞かせていただいてます。透析患者さんが入院した場合、入院前から患者さんの状態を看ている透析室看護師が退院支援カンファレンスへ参加し、退院後スムーズに在宅生活を送ることができるように関わっています。
腹膜透析 Peritoneal Dialysis
腹膜透析は腹腔内に透析液を貯留して腹膜を介して透析を行う治療方法です。1日2~4回、3~8時間毎に、腹膜の透析液を交換するCAPDと、夜間に機械で透析液を交換するAPDという方法があります。毎日、緩やかに透析を行うので体に優しい治療となります。また、自宅で透析を行うので自分の生活スタイルに合わせて透析療法を行うことができます。血液透析と比べて残された腎臓の働きをまもることができるという利点もあります。
ハイブリッド療法 Hybrid therapy
腹膜透析だけでは透析効率や除水量が不足している場合に、週1回程度血液透析を行い、腹膜透析と併用する透析療法です。毎日行う腹膜透析で体液コントロールや透析を行い、週1回の血液透析で体重の変化に応じた除水量の設定や不足している透析を補うことができます。
医師・スタッフ紹介 Staff Introduction
透析内科医
現在、8名の透析内科医が在籍しています。透析患者さんは、398名(2021年10月1日現在)在籍しており、様々な病状やライフスタイルの患者さんがいるなか、1人1人に最適な透析を実施できるよう日々、診療しています。
また、患者さんとの信頼関係を大切にしており、納得して治療に臨めるよう十分な説明や情報提供を行っています。
真鍋 康二 | Manabe Koji | 院長/血液浄化療法センター長 |
瀧 正史 | Taki Masafumi | 名誉院長 |
福島 正樹 | Fukushima Masaki | 名誉院長 |
荒木 俊江 | Araki Toshie | 内科部長 |
大森 一慶 | Omori Kazuyoshi | 内科部長 |
十川 圭司 | Sogawa Keiji | 内科医長 |
多田 蘇音 | Tada Sonei | 内科医長 |
渡邉 真也 | Watanabe Shinya | 内科医長 |
消化器内科医
透析患者さんは胃液の分泌異常、肉体的・精神的ストレスなどによる、胃炎や胃潰瘍などの消化器系疾患を起こす要因が多数あります。
また高齢化により発症リスクが高くなる胃がんや消化器の悪性腫瘍などを早期に発見するため、透析内科医と連携し内視鏡検査をはじめ症状に合わせた様々な検査を行っています。
山本 直樹 | Yamamoto Naoki | 消化器内視鏡センター長/診療部長/内科部長 |
西山 仁樹 | Nishiyama Jinki | 内科部長 |
岡 優子 | Oka Yuko | 内科部長 |
藤本 さおり | Fujimoto Saori | 内科部長 |
外科医
DAC(ダイアライシスアクセスセンター)について
ダイアライシスアクセスセンターでは、当院維持透析患者だけでなく、県内外の病院からもアクセストラブルでご紹介いただき、迅速にPTA(Percutaneous Transluminal Angioplasty:経皮的血管形成術)や手術対応をしています。
ベッドサイドでは、スタッフ教育により「触診」「聴診」だけでなく、静止静脈圧測定、バスキュラーアクセス管理パス、クリアランスギャップ、透析モニタHD02による血流測定など総合的所見からアクセストラブルの早期発見に努めています。また定期的なエコー検査によりバスキューラーアクセス機能評価し、アクセス狭窄・閉塞など多種多様なトラブルを早期に発見できるようにしています。
PTAは、拡張部にしっかりと局所麻酔を行い、痛みの少ない治療を目指しています。現在ではほとんどの患者さんから「痛みが軽くて済んだ」との感想をいただいています。アクセス穿刺困難患者の穿刺においては、エコーガイド下穿刺を行い、穿刺トラブルの減少に努めています。心不全などでシャント非適応と診断された患者、あるいはバスキュラーアクセス再建が完了するまでのブリッジユースが必要な患者に対してはカフ型カテーテル留置を行っています。多職種で連携を取り、安定した血液透析を維持できるように取り組んでいます。
平松 聡 | Hiramatsu Satoshi | 外科部長 |
櫻間 教文 | Sakurama Kazufumi | ダイアライシスアクセスセンター長/周術期管理センター長/外科部長 |
血液浄化療法センタースタッフ
現在、当センターでは看護師37名、臨床工学技士42名、事務職員4名が在籍しており、それに加え院内の各職種スタッフが各々の専門性を発揮し、患者さんの自分らしい生活を支えられるように治療を行っています。
また、慢性腎臓病療養指導士や腎臓病療養指導士、透析技術認定士など、認定資格取得者が在籍しており、患者さんが安心して透析治療を受けていただける環境を整えています。
患者さんの高齢化による通院の不安や、在宅生活の不安にも「家族面談」を行い、ご家族・患者さんが安心して生活できるようスタッフ全員で関わっています。
薬剤師
服薬指導を行うほか、腎機能が低下していると服用に注意が必要な薬剤があるため、当院以外で処方された薬剤も含めて患者さん個々に応じた安心安全な薬物治療を提供しています。
管理栄養士
通院透析患者さんには、月に1回を目安にベットサイドにて個々に合わせた栄養指導を行っています。また、毎月発行しているリーフレットを配布し、食事に関連した情報提供や季節に応じたレシピの紹介をしています。
治療実績 Treatment Results